悪女に付き合う暇はない【HQ】

☆の出し方を知りたい ページ14

第2セット終盤、園崎さんに頼まれてタオルを取りに行っていた。

言われた通りに持ってきたけど、これが中々多い。

園崎さんはいつもこんなにやってるんだ……。

大変だなぁと思いながら、タオルの入った籠を持ち直した。

「あっ、小谷ちゃん！」

何処からか名前を呼ばれて辺りを見ようとするも、バランスが崩れそうで出来ない。

それを察したのか、うちを呼んだ人は横に並んだ。

『及川さん』

「やっと覚えたね☆」

『(無反応) 怪我したって聞いたんですけど、大丈夫ですか？』

「スルー……。大丈夫だよ。今何セット目？」

『2セットです。試合、出るんですか？』

ジャージの格好だったので聞いてみた。

怪我は大丈夫って言ったけど、本当にかな。

「そりゃあ、及川さんは正セッターだからね！」

『そうですか』

「……棘を感じるのは気のせい？」

棘……？

よく分からないけれど、及川さん出るんだ。

見るのが楽しみ、かもしれない。

「否定しようよ〜…………小谷ちゃん」

『はい？』

「呼んでみただけ☆」

☆とか、及川さんって不思議なところあるな。


「(一瞬だけ、笑ったような……？)」



＊


試合終了後。

園崎さんの手伝いに勤しんでいると、岩泉さんがその場にやって来た。

岩「及川見てないか？」

園崎さんは見てないと答え、私も見てないとそれに続ける。

岩「くそ及川め……早くしろっつってんだろうが」

岩泉さんは独り言のように吐き捨てた。

岩「悪いけど、どっちか呼んできてくんねぇか？」

その頼みに、園崎さんと顔を見合わせる。

園「小谷さん、お願い出来る？」

『分かりました』

残りの仕事を意識するも、最近覚えたものを思い出して倉庫を出た。

・最近覚えたもの

先輩の言う事は？ ゼッターイ！ ＼(^o^)／




「大会までもう時間はない。どう____『及川さーん』 チョット！！ 空気読んで！！」

『えっ、空気って読めるんですか……？』

「そうだよ！！」

『初知りです。それより』

烏野「(それよりで済ませた！)」

『岩泉さんが「クソ及川め……早くしろっつってんだろが」ってボール構えて待ってます』

あの時、岩泉さんはボールを片手で握りしめていた。ボールの一部が凹みそうだったかもしれない。

「地味に似てるのが嫌だ……」

及川さんは身震いし、烏野に捨て台詞的なものを残してから体育館へ走っていった。

全力で。

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