127 ページ27
俺には到底何のことか理解できなかった。
もちろん、その言葉の意味も、何もかも、俺の理解の範疇を越えていた。
仁人「な、何の話？」
「とぼけるなよ。あの子が言ってたぞ。お前に無理矢理襲われたって。お前って、そんな奴だったんだな…」
そう言う彼の後ろで、黒い服を着て、怯えた表情を浮かべたあの子が、他の女子たちに支えられながら震えながら立っていた。
どういうことだ。
何の身に覚えもない、誤解も甚だしい。
仁人「そんなことしてないよ！！ねぇ、君も何とか言ってよ？！俺、あの後君を家まで送り届けてすぐ帰っただろ？！」
黒い服の女「う、嘘です…。この人、無理矢理私の部屋に入りこんできて…それで…」
仁人「そっちこそ嘘つくなよ！！俺はそんなことしてない！！」
しかし、俺の言葉なんて、誰も信じてくれなかった。
結局、俺はそのバイトを辞めざるを得なくなり、違うバイトを探すことになった。
納得できないことで辞めさせられ、憤りを覚えていたが、次のバイト先ではそんなことにならないように気を付けよう。
そう思っていたのだが、俺は目を疑った。
新しく見つけたバイト先で、あの黒い服の女が何食わぬ顔で働いていていたのだ。
店長に尋ねると、俺と同じ時に面接に来て、ここのバイトに入ることになったらしい。
仁人「何で…ここに…」
黒い服の女「だって…責任…とってもらわないと…」
仁人「責任って…何の…？」
黒い服の女「私にあんなことしたってことは…私の事…好きってこと…でしょ…？だから…その…責任…とってもらわないと…」
にやりと笑うその顔は、俺には恐怖でしかなかった。
この女は一体何を言っているんだ。
俺が何をしたって言うんだ。
俺に何をしろって言うんだ…。
そして、愕然とする俺に、このバイトの店長が耳打ちをしてきた。
「この子から聞いたけど、君たち付き合ってるんだって？羨ましいねぇ。まぁ、仕事の方も頑張ってよ。それじゃ」
意味が解らない。
一体いつの間に俺達は付き合ってるなんてことになっていたのか。
この女の考えてることが、俺には全く理解できない。
けれども、女は俺の方を見て、ずっとにやにやと不気味な笑みを向けるだけなのだ。
―
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 42人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
milkssss(プロフ) - ひぃさん» いえいえこちらこそ変な捉え方をしてしまい申し訳ありません！続きも頑張りますのでよろしくお願いします！ (2020年3月8日 15時) (
レス) id: 81ca320fbb (このIDを非表示/違反報告)
ひぃ(プロフ) - 良い意味で面白い展開で予想外でした！私の伝え方で誤解を与えてしまったようですみません。続き楽しみにしてます！ (2020年3月6日 3時) (レス) id: 6c73ae34c1 (このIDを非表示/違反報告)
milkssss(プロフ) - いちごさん» 感想ありがとうございます！そんな風に言ってくださると、書いてよかったって思います。ありがとうございます！続きも頑張ります！ (2020年3月2日 18時) (レス) id: 81ca320fbb (このIDを非表示/違反報告)
milkssss(プロフ) - ひぃさん» 感想ありがとうございます！予想外になってしまって申し訳ないです…。続きも頑張って書いていきますので、良ければまた読んでくださると、嬉しいです！ (2020年3月2日 18時) (レス) id: 81ca320fbb (このIDを非表示/違反報告)
milkssss(プロフ) - みるくさん» 感想ありがとうございます！そう言っていただけて嬉しいです！今日からまた続きちょこちょこ書いていくので、良かったら読んでみてください！ (2020年3月2日 18時) (レス) id: 81ca320fbb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：milkssss | 作成日時：2020年2月26日 19時
