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柔太朗「お待たせ」
そう言ってほほ笑む彼の顔も、やっぱりあの頃とちっとも変ってない。
それを見て、私は少し安心した。
アメリカに行ってしまったといっても、彼は何も変わらず、あの頃のままだったんだから。
それから私たちは、思い出話に花を咲かせながら、料理やお酒をたしなんでいった。
そして彼と食事しだしてから１時間ほど経った頃―
柔太朗「で、さ…。Aに、大事な話があるんだ」
ついに、きた。
何の話だ…。
私は高鳴る心臓に苦しみながら、固唾をのんで柔太朗の言葉を待った。
柔太朗「俺、明後日にはまたアメリカに戻るんだ」
あれ、デジャビュってやつか？
この感じ、前にも経験がある。
あのときは、別れを切り出せれたけど、今度は何なの…？
柔太朗「日本に戻ってきたのは、ちょっと資料を取りに来たくて、寄っただけ」
「そ、そうなんだ…。大変だね…」
柔太朗「それで、俺…今度はAにも付いてきてほしいって、思ってるんだ」
「え…」
彼は、まっすぐに私の目を見つめてそう言った。
それって、私にアメリカに来いってこと？
アメリカで、一緒に、暮らすってこと…？
柔太朗「もう、Aの分の飛行機のチケットも買ってあるし、上司にも了承は得てる。出来れば、明日には返事がほしいんだ」
「そ、そんな急に言われても…！」
本当に急だ。
明日にはって、それに、明後日には日本を離れるってことでしょ？
むちゃくちゃだ。
柔太朗「急なのはわかってる。でも、アメリカに行って思った。やっぱりAにはそばにいてほしいって…。だからずっと考えてたんだ…」
「ちょ、ちょっと待ってよ。柔太朗はいいかもしれないけど、私には家族とちゃんと話す時間もないまま日本を離れろって言うつもりなの？」
柔太朗「ごめん。前にも言ったけど、今度アメリカに行ったら、もう多分何十年かは日本には戻れない。それでも、一緒に来てほしい」
「そんなの…無理だよ…」
柔太朗はいつもそうだ。
こんな大事なことを、こんな急に言ってくるんだから。
心の準備も出来ないままに突然に。
柔太朗「……。今晩、ゆっくり考えて、明日の夜に、返事を聞かせてよ」
そんなこと言われても、私、どうすればいいの…。
―
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milkssss(プロフ) - ひぃさん» コメントありがとうございます！最後までお付き合いいただけると、嬉しいです！ (2020年2月25日 21時) (
レス) id: 81ca320fbb (このIDを非表示/違反報告)
ひぃ(プロフ) - 続き楽しみにしてます！ (2020年2月25日 2時) (レス) id: f0de405ab0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：milkssss | 作成日時：2020年2月19日 15時
