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彼は休憩所の椅子から立ち上がると、わき目も振らず、一直線に声の主、すなわち私の元へとやってきたのだ。
山中「よっ、久しぶり。元気そうで安心したよ」
彼の言葉に、私はなんて返せばいいのかまったくわからない。
山中「もしかして、まだ怒ってる？俺のこと…」
私は今、怒ってるの？
それとも、また彼に会えてうれしい？
わからない。
わからないよ…。
いまさら、そんな…。
「おーい山中！」
山中「あ、ごめん。また今度ゆっくり話そう、A」
そう言って、彼は自分を呼ぶ他の社員のほうへ行ってしまった。
名前を呼ばれた。
あのときみたいに。
彼と、付き合ってたときみたいに。
やさしいあの声で、名前を呼ばれてしまった。
それだけで、私は魂が吸われてしまったかのように、全身から力が抜けていくのを感じ、デスクの上に突っ伏した。
「あー、A？大丈夫？」
「大丈夫じゃない…」
「でも、よかったじゃない。彼まだAのこと覚えててくれたじゃん」
呑気に笑う同僚に、もはや怒りもこみあげてこないほど、私はこの一瞬で疲れ果ててしまっていた。
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milkssss(プロフ) - ひぃさん» コメントありがとうございます！最後までお付き合いいただけると、嬉しいです！ (2020年2月25日 21時) (
レス) id: 81ca320fbb (このIDを非表示/違反報告)
ひぃ(プロフ) - 続き楽しみにしてます！ (2020年2月25日 2時) (レス) id: f0de405ab0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：milkssss | 作成日時：2020年2月19日 15時
