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良かったぁ…。
Aさん、嬉しそうだったな…。
実は俺もAさんとちゃんとしゃべることができて、ちょっと嬉しい。
しかも、俺の為にカレーを作ってくれた。
マジで嬉しい。
そう言えば、昨日から何も食べてないからやばいぐらいお腹がすいてきた。
あ、駄目だ。
めっちゃでかいお腹の音なった…。
は、恥ずかしいよぉ…。
早く食べよ…。
あれ？でも…。
カレーってどうやって食べるんだっけ…？
目の前に置かれたカレーを俺はじっと見つめる。
見つめてたってどうにかなるわけじゃないんだけど、なんとか思い出そうと頑張ってみた。
けれど、カレーという食べ物自体は覚えていても、こいつの食べ方がまったく思い出せない。
多分これを使うんだろうけど、これ、何だっけ？
「あ、もしかして、スプーンの使い方分からない…？」
スプーン？
あぁ…なんか、聞いたことあるような…ないような…
俺って、こんなに色んな事忘れてるんだ…。
あと、何を忘れてるんだろう。
そう思うと、なんだかまた怖くなってきた。
「スプーンはね？こうやって使うのよ？」
よし、あれならなんとかできそう。
早速…。
駄目だ…。
手が震えて思う様にできない。
目の前にこんなにおいしそうなカレーがあるのに…。
しかも、俺の為にせっかくAさんが作ってくれたのに…。
もう一回！
あ…。
スプーンですくったカレーは見事に俺の手を滑り落ちて、ズボンに落下した。
あーあ…。
またAさんに恥ずかしいところ見られちゃったな…。
ジント「俺、どうしたらいい？」
Aさんが布巾を取りに行ってくれている間、俺は隣で美味しそうにドッグフードを頬張るバンビに尋ねた。
ジント「って、お前に聞いても仕方ないか…」
バンビはちらっと俺の方を見ると、またドッグフードを頬張る。
それにしてもおいしそうに食べるなぁ…
美味しそう…
お、俺も…
そして、俺は視線をカレーに戻した。
バンビが食べてるお皿と、このカレーのお皿って、似てる…。
あぁやってすれば、俺も食べれるかな…。
い、いただきます！
少しスパイスの効いたカレーは、俺の顔をベトベトにするのと引き換えに、空っぽだった俺の胃袋を満たしていってくれた。
美味い…
こんなに美味いカレーを食べたのは…
あぁ、記憶がないから初めてだな…
「もう…そんな食べ方しちゃ駄目じゃない…。でも、どう？おいしい？」
ジント「はい…すっごい美味しい…」
「あ…笑った…」
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作者名：milkssss | 作成日時：2020年2月17日 15時
