4 ページ4
「す、すみません。あの…彼どうなりましたか？手術の方は、無事終わったんでしょうか…？」
医者「あぁ。あなたが救急車を呼んでくださったそうで。私は担当医師の佐野です。なんとか、手術は無事に終わりましたよ。彼の意識もさっき戻りました。でも…」
え？でも…？
佐野と名乗った医者の先生は急に険しい表情を浮かべている。
一体何だって言うのかな？
無事に手術が終わったんなら、それでいいじゃないか。
喜ばしいことのはずなのに、なんて顔をするんだこの医者は。
「どうしたんですか…？」
佐野先生「いや、問題が一つありましてね。彼、どうやら記憶喪失のようなんです」
記憶喪失？
あの、あれか？
ここはどこ？私は誰？
的な、あれ？
佐野先生「しかも、結構重度の記憶喪失でしてね。自分に関する記憶、つまり自分の名前も、年齢も、どこに住んでいたのか、何をしていたのか何も覚えていないようなのです。さらに、身元が分かるようなものも何も持っていないようでしてね」
まさか記憶喪失なんて本当にあったんだ。
でもじゃあ、私が見つけたあの人は、どこの誰かもわからない謎の人物ってことか…。
佐野先生「見た目や言動から察するに、おそらく10代後半から20代前半だとは思うんですがね…。問題は、他にもあります。試しに紙に文字を書くように頼んだのですが、あまり文字も思い出せないようで、ペンの使い方も…。まぁ、こちらの言っている意味は理解しているようなので、日常生活に支障が出るかは今のところ分かりませんが…」
「そんな…。ど、どうすれば、記憶が戻るんでしょう？」
佐野先生「自然に戻るのを待つしか…」
「そうですか…」
佐野先生「お会いになりますか？」
まぁ、別にあの人の親族でも、友達でも、何でもないのだが、これも何かの縁だろう。
しかも、気になってここまで来てしまったのだし、成り行きに身を任せてみよう。
「はい」
私はそう答えると、彼のいる部屋に通された。
―
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 64人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：milkssss | 作成日時：2020年2月17日 15時
