愛と合図【M!LK】 ① (ページ29)

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でもその時、私はふとある疑問が頭に浮かんできた。
お箸やスプーンを使えないのに、ジント君はどうやってこのお味噌汁や焼き魚を作ったんだ？
前も卵焼きなんかも作ってくれていたし。

「ねえ、ジント君？」

ジント「ん？何？もしかして…美味しくなかった？」

「ううん。味はとっても美味しいんだけど、これ、どうやって作ったの？」

ジント「どうって…こんな感じで…」

そう言って、ジント君は手で鍋を混ぜる動作や、魚をひっくり返す動作をその場でやってみせてくれた。

あぁ、なんでもっと早く気が付かなったんだろ。

そりゃ、そうだよね。

私はその動作を見て確信した。
確信というか、もろに気が付いたんだ。

彼は左手で鍋をかき混ぜたり、魚をひっくり返したりを繰り返していたのだ。
ジント君は左利きなんだ。
だから右手じゃ上手くお箸やスプーンを使えなかったんだ。
きっとご飯を作るときは、無意識のうちに左手を使ってたのに本人も気が付いてなかったんだ。
そう言えば、彼が倒れているのを見つけた時も、右手に腕時計を付けていたっけ。

「そっか。ジント君、あなた、左利きだったんだね」

ジント「え？左利き…？」

そしてこの日から、ジント君は色んなご飯が食べられるようになった。

『ジント君は左利き！』

これも、観察ノートに書き記しておこう。

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