愛と合図【M!LK】 ① (ページ22)

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お風呂のドアを勢いよく開けると、彼は泡まみれになりながら、一生懸命バスタブを磨いていた。

「え…？何やってるの…？」

ジント「あ…いや…男が入った後のお風呂なんて、入りたくないかなって思って…」

まさか、そんなことでお風呂を掃除してくれてたの…？
自分に関する大事な記憶を失って、とっても大変な思いしてるはずなのに、私にそこまで気を使てくれるなんて、なんて良い子なんだろう…。

ジント「ご、ごめんなさい…！余計なことして…」

「い、いや！全然いいの！むしろ感動しちゃって…。ありがとう…そんなことまでしてくれて…」

ジント君は申し訳なさそうにバスタブから出ると、頭を下げてきた。
多分、記憶を失う前も、人としてとってもできた子だったんだろうな…。

そう思っていると、私はふっと我に返った。
私の目の前には、泡まみれで素っ裸の男の子の体が。

私のそんな視線に気が付いたのか、ジント君は今自分がどういう格好なのか思い出し、顔を真っ赤にしてあからさまに動揺して慌てていた。

ジント「ご、ごめんなさい！こ、これは…！！」

洗剤で濡れたお風呂場の床の上で慌てるジント君の足は、ものの見事に泡で滑り、ものすごい勢いで体勢を崩したのが見えた。

「あ、危ない！！」

もちろんその光景に、私も反射的に慌ててしまっていた。
そして、大きな音と共に、私の視界はぐらりと大きく動いたのだった。

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