愛と合図【M!LK】 ① (ページ11)

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きっと、これが犬ってことも忘れてしまっているのかな…。
だとしたら、結構いろんなことを忘れてしまっているみたいだ。
まるで大きな子供ができたようだ。
まぁ、子供なんてできたことないけど、弟ならいる。
そうだ、弟だと思えば、まあ大丈夫か。

「あら、バンビちゃん、結構懐いちゃった」

見て見ると、彼はちょっとだけ穏やかな顔をして、バンビの頭をぎこちなく撫でていた。
それを見て、私はちょっと安心した。

そうだ。

これを書いておかないと。
私は鞄から一冊のノートを取り出して、真っ白な一ページ目に文字を書き入れた。
このノートは、医者の佐野先生から頼まれたものだ。

佐野先生『このノートに、何か気付いたことや、彼のしぐさの癖など、何でもいいので書き入れていってください。もしかしたら、記憶を戻すための手掛かりになったりするかもしれません。まぁ、ようするに観察日記的なものだと思っていただければ』

と、そう言って頼まれたのだ。
そして私はこう書いてみた。

『驚くと、肩と首をすぼめる。犬が好きみたい』

こんな感じでいいのかな…？

こういう経験がないものだから、なんて書いていいのか分からないけれど、とりあえずはこんな風に箇条書きで彼のしぐさを書いて行こう。

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