愛と合図【M!LK】 ① (ページ14)

今日:23 hit、昨日:27 hit、合計:41,656 hit

14 ページ14

めざましの音がけたたましく鳴り響く。
私は二日酔いで痛む頭を押さえながら、めざまし時計を止めるために体を少し起こした。
カーテンからは薄い朝日が入り込んできて、私の目覚めを迎えてくれた。

あれ…いつの間に寝ちゃったのかな…

昨日はたくさん飲んだ気がする。
いつどうやって寝たのか、記憶をたどってみるが、まったくもって覚えていない。

覚えてない…。

「あ！」

私は大事なことを思い出して、布団から飛び起きた。

そうだ、あの人…。

記憶喪失の彼は、あれからどうしたんだろ？！
私が面倒みるって言って引き取ったのに、こんなんじゃ駄目だよ私！

心の中で自分に喝を入れて、私は彼の姿を探した。
しかし、私の目に飛び込んできたのは驚くべき光景だった。

リビングのテーブルの上には、炊き立てのご飯とお味噌汁、そして、おいしそうな焼き色のついた卵焼きが並べられていた。
昨日飲んだはずの缶は綺麗に片付けられているし…。

も、もしかして…。

そう思ってベランダの方を見てみると、ベランダに出る窓際に、ペットのトイプーのバンビちゃんを撫でながら座っている彼の姿があった。

「あ、あの…もしかして、これ…作ってくれたの…？」

私がそう言うと、彼は恥ずかしそうな顔を浮かべて、バンビの方を見つめながらうなずいていた。

や、やだああ！！

ありがとぉおお！！

私は感激のあまり、酔いの頭痛もきれいさっぱり無くなってしまった。
本当は思いっきり抱きしめてあげたいけど、それはさすがに失礼極まりないな。