甘い誘惑【ONE PIECE】 (ページ10)

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近づいてくる足音に

落ち着いたはずの心臓がまた騒ぎ出す。

シャンクスはわたしの肩にふわりとマントを羽織らせると

隣に腰を下ろして

持ってきた酒瓶をぐびぐび飲み始めた。

あなたから逃げてきたのになんでついてきたの…

心の中でそう悪態をつきながらも

シャンクスがくれた優しさが嬉しくて

マントをぎゅっと握りしめながら

そのぬくもりに身を委ねる。

わたしの好きな匂い。

あたたかいおひさまみたいなシャンクスの匂い…

『ありがとうシャンクス…』

シャ「なぁA…お前は天才だ。お前の作る菓子を毎日食べられたらどんなに幸せか…」

『そう言ってもらえると嬉しい』

シャ「お前ならみんな大歓迎だ」

『そう、かな…』

シャ「それにおれの気持ちも知ってるだろ？」

『…気づかないほど鈍感じゃないよ』

でも、できることなら気づかないふりをしていたい。

シャ「じゃあ、おれの船に乗る気は？」

『ない』

シャ「はぁ…また即答かよ」

シャンクスは分かりやすくがっくり肩を落とすと

勢いよく酒を煽って

シャ「なぁ、分かるだろ？おれはお前を口説いてるんだ。少しくらいなびいてくれよ」

そう言い終わるや否や

また残りの酒を一気に飲み干した。

これは誰がどう見てもやけ酒だ。