甘い誘惑【ONE PIECE】 (ページ3)

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『いつものチョコ食べる？』

シャ「ああ…頼む」

『持ってくるから座ってて』

ようやく解放された体でカウンターの中に戻ると

シャンクスの好きなチョコレートを

いくつか取ってお皿に盛り付けていく。

ふと視線を感じて顔を上げれば

窓際の席に座って頬杖をつきながら

こちらを見つめるシャンクスがいた。

淡い色の花と観葉植物で飾られた店内には

似つかわしくない彼の姿。

今でこそなんとも思わないけど

初めて見たときはそれはそれは違和感の塊で

顔に傷のあるガタイのいい男が

わたしの作ったチョコレートを美味しそうに頬張る姿が

不思議でしかたなかった。

・

・

わたしが初めてシャンクスに出会ったのは二年前。

この島に来てケーキ屋を開いてから間もないとき。

シャ「酒場で食べたチョコの味が忘れられなくてな。この店から仕入れてるって聞いたんだが同じのをもらえるか？」

屈託のない笑顔を浮かべながら来店した珍客が

シャンクスだった。

まさか海賊が…いや、あの赤髪海賊団の大頭が

自らチョコレートを買いにくるなんて思わなくて

しばらくの間呆気に取られていたわたし。

シャンクスはそんなわたしを見ながら

けらけら笑っていた。