甘い誘惑【ONE PIECE】 (ページ20)

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20 シャンクスside ページ20

「大頭起きてください！いつもの時間ですよ」

シャ「ん…もう朝か？」

浴びるように酒を飲んだ後

ベッドに倒れ込んでから

そう時間は経ってないはず。

早起きは得意じゃない…

だけど、重い体に鞭打ってでも無理矢理起きるのは

あいつに会うためだ。

そういや昨日は

新しいメニューを考えるとかなんとか言ってたな。

あいつはちゃんと寝ただろうか。

何かに没頭し始めると

他が疎かになる不器用な奴だから心配だ。

ル「お頭またAのところ行くのか？」

シャ「ああ」

ル「Aも大変だな。朝からお頭のお守りなんてよ」

シャ「うるせぇ、ほっとけ」

Aの仕事の邪魔はしたくないが

会わなければ気が済まない。

営業時間を避けて会おうとすると

決まって朝早くか夜遅く…

それでも構わなかった。

あいつに会えるならなんだっていいんだ。

「大頭！！赤髪の大頭はいるか！？」

シャ「おお、パン屋の店主じゃねぇか。どうした？」

「そ、それがAがいないんだ」

シャ「なんだと？」

「朝、店を開けに行ったらいつも挨拶してくれるAがいなくて、変だと思ってあの子の店を覗いたんだ。そしたら店の中が綺麗さっぱり片付けられてたんだよ。まるで店じまいしちまったみたいに…」

シャ「…っ、…」

嫌な予感てのはなんでこうも当たるんだ。

昨日のAは明らかに様子がおかしかった。

何かに怯えているような引き攣った笑顔。

気づいてたさ、

いつものあいつじゃないって。

だけど、おれの根本にあるのは

あいつに嫌われたくないっていう情けない感情で

だからあいつが言いたくないことは聞かなかった。

それがいけなかったんだ。