甘い誘惑【ONE PIECE】 (ページ16)

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不思議だ。

シャンクスといると

張り詰めていた緊張の糸が和らいでいくみたい。

重苦しかった心がようやく晴れて

『はい、お水』

シャ「ありがとな」

その声を聞くだけで言葉にできない安堵感に包まれる。

わたしってこんなにもシャンクスのことが

好きだったんだ。

いつの間にこんな大きな存在になっちゃったんだろう…

なんて今更気づいてももう遅いね。

『シャンクス…』

んっと両手を広げながら彼の名前を呼ぶと

一瞬目を見開いたシャンクスは

飲んでいた水をぶふっと吹き出して

シャ「おいおい、これは夢か？お前からハグを求めるなんて初めてじゃねぇか」

ってちょっと困惑したような

でも嬉しさを隠しきれないような顔でそう言った。

『いやならいい…』

シャ「いやなわけないだろ」

そう食い気味に返して

ばっと立ち上がると

なんの躊躇もなくわたしの体を抱き包んだシャンクス。

背中に回された太い腕も

鼻を掠める酒の匂いも

触れ合った部分から伝わる熱も

心臓がうるさいくらいどきどきするのも

これが最後…

シャ「なんの気まぐれだ？」

『え？』

シャ「おれにとっちゃこんなに嬉しいことはないが…何か引っかかる」

『特に意味はないよ…』

シャ「それならいいが…」

ほんと大雑把な性格してるくせに

勘だけは鋭いんだから。

微妙な変化も見逃さないその鋭さは

さすが大頭とでも言うべきか…

でも今は…いつもの間のぬけた男でいて欲しい。

『ねぇシャンクス…もっと強く抱きしめて…わたしそんなにやわじゃないから大丈夫だよ』

苦しくても構わない。

わたしが二度と忘れられなくなるほど強く…

この体にあなたと言う存在を刻み込んで。