甘い誘惑【ONE PIECE】 (ページ11)

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いつも自信に満ち溢れていたシャンクスの大きな体が

今は少しだけ頼りなく見える。

『飲み過ぎだよ。シャンクスも人のこと言えないね』

シャ「ダメだ…酒が足りねぇ」

『………ねぇシャンクス…夜の海ってこんなに綺麗なんだね』

水平線をぼーっと眺めていると

月の光がゆらゆら揺れる海面が美しいと思った。

だから見たままを口にすれば

シャ「海はいいぞ。あの向こうのどこまでも自由に行けるんだ。お前に見せてやりてぇ景色がたくさんある」

ふわっと笑いながらそう答えたシャンクス。

シャ「だからおれは…お前を連れて行きたい」

本当に…

シャンクスはどこまでも真っ直ぐな人だ。

こんなにもわたしを求めてくれる人は

後にも先にもこの人しかいないのだろうといつも思う。

だけど、わたしにはシャンクスの隣にいる資格がない…

『わたしは一緒には行けないよ』

シャ「ったく…強情な女だな」

『わたしはそう簡単に手に入る女じゃない。知ってるでしょ』

シャ「そうだな…だからおれはお前に惚れてるんだ。手に入らないものほど欲しくなる」

『海賊は欲しいものは力ずくで奪うんじゃないの？』

シャ「お前を力ずくで奪ったって意味ねぇよ。いつか振り向いてくれたらそれでいい」

切なさの入り混じったシャンクスの声は

夜の暗闇に消えていく。

隣に視線を向ければ

少し困ったように笑うシャンクスがいて

その顔を見た瞬間

心臓を優しく握られたようにきゅっと胸が痛んだ。