甘い誘惑【ONE PIECE】 (ページ22)

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島についたのはちょうどお昼頃。

すっかり眠り込んでしまったわたしを

おじさんが優しく起こしてくれて

そのままお礼を言って船を下りた。

賑わう街を通り抜け

島の海岸沿いを半周ほど歩いた時、

水平線からこちらに向かって来る一隻の船。

遠くからでも分かる…

見覚えのあるお菓子の船首にメルヘンな造りは

ビッグマム海賊団の船だ。

ゆっくりと近づいて来るそれが

わたしにとっては

終わりが近づいて来ているようで怖かった。

カ「久しぶりだなA…」

『…っ、…カタクリお兄ちゃん？』

船から一番に下りてきたお兄ちゃんを見て目を見開いた。

正直、迎えに行くとは言ってたけど

本当に来るなんて思ってなかったから。

『あ…えっと…久しぶり？』

兄と再会しただけなのに

どうしてこんなにぎこちなくなっちゃうんだろう…

気まずくて目を合わせられずにいると

大きな手がわたしの頬をそっと撫でる。

カ「少しやつれたか？ずっと心配してたんだ」

『そんなことないよ。船に乗ればいんだよね…』

カ「A…」

『大丈夫、全部終わらせてきたから。覚悟もできてる』

カ「…少しなら時間はある。街でも見てきたらどうだ？」

優しいお兄ちゃんのことだから

その言葉は善意からくるものなんだろうけど

わたしには、最後の自由を噛み締めて来い…そう聞こえた。