あと1センチの恋【JK】完 (ページ8)

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JK「A？泣いてる？」

『泣いてない』

JK「痛い？」

『…悔し涙だからっ』

自分の手の上にぽとっと水滴が落ちてきて、もう誤魔化せないから可愛くない言い訳をした。

グクはそんな私を慣れたように抱き寄せると、子供をあやすみたいに私の背中をぽんぽん叩いてくるから。

きっとグクは私の強がりだって気づいてる。

JK「女優が体張る仕事なのは分かるけどさ、こんなになるまで頑張らないでよ」

『……っ……』

JK「お願いだからもっと自分を大事にして」

グクの暖かい体温も心臓の音も、こんなに近くで感じられる距離にいるのに。

たまに思うんだ…

〝隣〟が1番遠く感じるの。

それ以上離れることはないけど決して近づくこともできない。

多分、男と女の違いを先に意識し始めたのは私の方だった。

成長するにつれ男のグクに勝てるものは少なくなったけど、恋愛だけは私の方が上、そう思ってた。

でも、高校生の時グクが彼女とキスしているところを偶然見てしまってからは、私の中でわけの分からないモヤモヤとした感情が生まれ出した。

焦りにも似た胸騒ぎを感じて、意味もなくグクに八つ当たりしたっけ。

今思えば嫉妬してたんだ…

その時から私はグクのことが好きだったから。

私はグクの幼馴染と言う特別にはなれても、あの女の子みたいにもうひとつの特別にはなれない。

だってもう…遅すぎる…