あと1センチの恋【JK】完 (ページ49)

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朝、目が覚めると目の前にはグクの胸板…

逞しい腕に抱きしめられたまま視線を上げれば、スヤスヤと寝息を立てているグクがいて

その無防備な姿に自然と笑みが溢れる。

あの日とは違う…

目が覚めて好きな人が隣にいるってこんなに幸せなんだ。

なんだか、幸せすぎてじっとしていられなくて…

目の前の胸板におでこをすりすりしてみたり、唇をくっつけてみたり…

JK「…ん」

それがくすぐったかったのか少し身をよじりながら、うっすら目を開いたグク。

『おはよ』

JK「…おはよ」

まどろみの中でうとうとしているグクが可愛くて、ぎゅっと抱き付けば同じようにぎゅっと抱きしめ返してくれる。

そんな些細な行為でも嬉しくて思わず顔が緩んだ。

『グク、好きだよ』

JK「…俺も好き」

『ふふっ…グクはいつから私のこと好きだったの？

……もしかして子供の頃からとか？』

JK「何いきなり…」

幸せな時は言葉が無闇に飛び出してきて止まらなくなるもの。

グクからの好きがもっと欲しくてたまらない。

グクはもぞもぞ体を動かして私を抱きしめ直すと、私のおでこに優しいキスを落とす。

JK「ずっと昔から…。Aの全部が好きだよ」

『こんなわがままで自分勝手でどうしようもなく素直じゃない女なのに？』

JK「……わがままで自分勝手でどうしようもなく素直じゃない女に惹かれる男もいる」

『ふふっ…なにそれ』

ああ…

私幸せだ…

きっとこの地球上のどんな人よりも幸せ。

私たちは近いようで遠かった。

いつも〝好き〟が噛み合わなくて、すれ違って遠回りして。

でもずっと手の届く距離にあった幸せ。

ほんの少し素直になって、たった一言を伝え合えばよかったんだね…

愛するのに遅すぎることなんてない。

これからは、めいいっぱい好きを伝えるから。

だから、これからもずっとグクの腕の中にいさせて…

抱き合ってキスをして隙間なく愛し合える。

そんな距離で寄り添いたい。

大好きだよグク…

fin.