あと1センチの恋【JK】完 (ページ34)

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あれからドラマの撮影が忙しくて、しばらくグクとは会っていない。

それでも、前みたいに連絡は取り合うようになって

《今トレーニング中》

なんて画像付きで送れば、

JK〈ナマケモノって運動しすぎると死ぬらしいよ〉

相変わらず嫌味ったらしい文と、目を細めた私のあほ面写真が送られてくる。

前までだったらムカついてグクの事故画像を送り返すけど、今は何故だか嬉しくて思わず頬が緩んだ。

私にとっては、〝ほどほどにしろよ〟そう言われてるように感じて、何よりあんなことがあっても変わらず接してくれるグクにほっとした。

・

撮影の待ち時間。

『アイスコーヒーください。あとチュロスも』

グクが差し入れてくれたコーヒーカーは本当にチュロス付きで、シンプルで飾り気のないところもグクらしい。

TH「Aちゃんお疲れ様ー」

聞こえるはずのない声……

まさかと思い振り返れば、そこに立っていたのはテヒョンイオッパだった。

オッパはニコニコしながら近づいてきて、私がもらうはずだったチュロスを受け取ると近くのベンチに腰掛ける。

私もコーヒーだけ受け取って同じように隣に座ると、

TH「これジョングギからの差し入れでしょ？」

『はい…よく分かりましたね』

TH「普通なら写真とかステッカーとかさ、応援メッセージとかつけるのに、何もないから…」

『……いつもそうですよ』

グクは、頑張れとか応援してるなんて言葉はくれない。

言葉をくれない代わりに、こうやって毎回必ず差し入れをしてくれて、

口では言わないけどそれを行動で示してくれる。

その言葉足らずな優しさが、撮影現場でひとり心細かった私を何度も勇気づけてくれた。