あと1センチの恋【JK】完 (ページ18)

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私がグクを好き……

その言葉は、最近抱いていたグクヘのモヤモヤを全て取り払うかのように、

心の中にストンと落ちてきた。

『私、分かりやすかったですか？』

TH『うん、すっごく』

『ははっ…女優なのに肝心なところはダメですね』

TH『どうして好きだって伝えないの？』

『……もうどうしようもないんです。

ここまできてしまったら、今のグクとの関係を壊したくないしファンを裏切りたくない。

私たちには守らないといけないものも多いじゃないですか…』

なんて言葉を並べてみるけど、所詮臆病者の言い訳にすぎない。

ただ自分が傷つきたくないだけ…

赤信号でゆっくりと止まった車。

俯いたままの私の視界に、オッパの手が伸びてきて

私のほっぺたを指でつまむと、むにむにと動かしてくる。

TH「全く、世話の焼ける妹だなー」

『いひゃいです』

顔を上げると、優しそうなでもどこか寂しそうなオッパがいて

TH「好きって気持ちは、言葉にしないといつまでも伝わらないんだよ。

近くにいれば尚更ね…

手の届く距離だからって安心してたらダメなんだ」

そう言ってまた前を向くと、アクセルを踏むオッパ。

その横顔はやけに寂しそうで、

『もしかしてオッパも…』

TH「……俺はもう随分昔だけどね。

ずっと好きな人がいたんだ。告白しようとしたら結婚が決まってた」

懐かしさと切なさの入り混じった微笑み。

その微笑みに、何故だか胸がぎゅっと締め付けられた。

TH「当たり前にあるものが、いつまでもそこにあるとは限らないんだよ。

だから、Aちゃんも少しだけ素直になってごらん」

素直…か…

なれるかな。

いや、ならないといけないよね。