あと1センチの恋【JK】完 (ページ15)

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いきなりの出来事に頭が追いつかない…

それでも貪るような刺激は止まってくれなくて…

『…んぁ…はっ……グ、ク』

グクとの初めてのキス……

それは食べられてしまいそうなほど荒々しくて、想像していた甘いキスとは程遠いものだった。

『んっ…ふぁ……い、やっ……』

何度も角度を変えて押し付けられる唇に、うまく息ができなくて頭がぼーっとしてくる。

このまま流されてしまってもいいのかな……

なんて頭では考えるけど

私の体は酷く矛盾していて、好きな人に触れられているはずなのに怖くて震えが止まらない。

今の私は、自分ではどうすることもできないくらい感情がくぐちゃぐちゃだ。

『っん…っ…グ、ク……こわいっ』

生理的な涙で視界がぼやけるのと同時に、絞り出した声は弱々しくて

縋るようにグクの手をぎゅっと握れば、唇が離れてようやく目があった気がした。

一度瞬きすれば涙が頬を伝って、はっきりと見えたグクの顔は

ハッとしたような、まるで今何が起きているのか分からないとでも言いたげなそんな表情だった。

JK「…俺…ごめんっ……」

『…っ…』

心なしか震えているグクの手が近づいてきて、私の目尻に溜まった涙を優しく拭ってくれる。

JK「っ…ほんとごめん。俺どうかしてた…
…………帰るね」

一方的にそう言って、私の上から退くと足早にリビングを出て行ったグク。

去り際のなんとも言えない切なそうなグクの顔に、また涙が溢れてきて

私たちの中の〝何か〟が壊れてしまったんだと、今更理解してももう遅い。

残された私は両手で顔を覆うことしかできなくて、扉の閉まる音がやけに虚しく感じた。