ふわふわ飛んでけ～【ヒロアカ】【男主】 (ページ8)

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第六話相澤は見たページ8

　相澤は思わず、自身の口角が上がるのを感じた。

　自分は、ヒーローの見込みゼロと判断した者は幾度も除籍処分にしてきた。その度に色んな個性を使う奴らを見てきた。だが、不和のように自身の個性だけではなく、他人の個性まで利用して体力テストに挑む奴なんて早々にいなかった。

「おい、テメェ！！俺の個性利用すんじゃねェ！！」
「ふふふ。なかなか、楽しかったです。また、やってくださいね」
「二度もねェは、能天気野郎！！」

　確かに不和は、爆豪の言う通り一見能天気というか、穏やかでのんびりしたように見えるが、あの瞬時の判断力はかなり頭が切れるだろう。そういえばAが、筆記一位だったことを相澤は思い出す。
　今年は面白い一年が入ってきた、と相澤は爆豪に絡まれているAを見て笑った。

　その後、Aは握力、反復横とびでは至って普通な記録を出したが、ボール投げは麗日に続き無限と言う記録を出し、立ち幅とびでもどこまでも空中に漂って着地する様子が無く、これもまた無限になり、あっという間に不和は生徒に取り囲まれていた。

「ところで、ばくばく君。今、ボールをなげようとしている彼と仲がいいみたいですが、大丈夫ですか？今まで目立った記録がないです」
「はぁ？仲良くねーわ。つーか、デクは無個性のザコだぞ！ったりめーだろ」
「無個性！？彼が入試時に、何を成したのか知らんのか！？」

「は？」

　――緑谷出久。ボール投げの記録を測定するために、緑谷は円の中で腕を振り上げて個性を使おうとする。しかしだ。見るからに緑谷は個性を使いこなせていない。このままではあの時の二の舞いだ。