ふわふわ飛んでけ～【ヒロアカ】【男主】 (ページ3)

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第一話 1－Ａページ3

　受験の季節は過ぎ、暖かな日差しが降り注ぐ春になる。見事に雄英の試験を合格したAは、真新しい制服に身を包み…

　というわけではなく、新学期早々、ワイシャツのボタンを数個開け、ブレザーとネクタイはただ掛けてあるだけのまま『1-Ａ』とデカデカと書かれた扉の前で、片手に持った―――嫌なんで持ってんの？と思わす謎のタンポポを片手に立ち止まった。

　扉の向こうからは、「聡明～～！？くそエリートじゃねえか。ブッ殺し甲斐がありそうだな」とか物騒な会話が聞こえて来る。

　ふわっ、と軽く欠伸をしながらAが扉を開けると視線が一気に集中する。

　そして、一部の生徒は心の中で突っ込む。

「(なんでタンポポ持ってるの！？)」

「A君ではないか！」

　身体が固まる中、一人だけAの元へ足を進める人物がいた。
　それは、Aが扉を開ける前に物騒な会話をしていた相手の、メガネに七三分けが特徴的な生徒で、中学が同じであった飯田天哉だ。

「天哉くんだ～。高校も、いっしょですね。うれしいです」

「あぁ、ボ…俺も嬉しく思う。それでA君。その制服の着方は何だ！ブレザーとは…」

　しかし、真面目な性格な飯田は挨拶を終えるなり直ぐに目に入ったAの制服の着方について説教を始める。説教をされている当の本人は、片手に持っているタンポポをジッと見つめて全く聞いていないのだが。

「―――聞いているのか、A君！！」
「天哉くん、天哉くん。見てください…ふぅ～
「…ハァ」

　すっかり伸びた背中も、どこか掴み所の無い性格も、それに振り回されていた自分も懐かしい。タンポポを吹くAの姿を見ると、溜息を溢しながら「相変わらずだな、君は」と飯田は呟いた。