第十四話 中原中也 ページ18
前髪を掻き上げ、
乱歩に云われ、ポートマフィアに潜入したAであったが、案外すんなりと物事が運ぶものだと眉尻を下げた。
「其れにしても、太宰君は何処に居るのかな」
虚しくAの言葉が廊下に残響する。此れまでマフィアの内部を彷徨って見たが、太宰の姿は見えなかった。もしや、最上階に居るのかと
最早、Aに残された選択肢は只一つ。地下へと続く階段を降りる。
一段降りる度、石壁の隙間から忍び込む白い霧が視界を掠める。流石は、マフィアの地下。大方、此処は収監所とでも云うべきか。
其して、Aの足先が地面についた時、何やら太宰と争う声がした。
「云っておくがな太宰。これで終わると思うなよ」
黒い帽子を被った、小柄な男が太宰を指差して強く云う。Aはその男を眼に止めてから、次にボロボロになった太宰を見て、気付いたら口を挟んでいた。
「何が終わらないんだい？」
「あ゛？」
太宰を睨みつけていた男が振り返り、突然現れたAの姿に目を見開く。
「おやぁ〜！A君ではないか！」
「誰だ手前。・・・真逆、本当に探偵社のヤツが助けに来たってのか」
正直に云うと探偵社の一員ではないが、満遍なく笑みを浮かべて手を振る太宰を見て、話しを合わせるべきと判断したAは、
「ちょうどいい
さあ、中也。そう言って太宰に何かを促され、屈辱に塗れ、怒りで男は肩を震わせる。
「―――二度目はなくってよ！」
突然、内股で歩き乍ら、お嬢様口調でそう叫んだ男。太宰はその醜態に腹を抱えて笑い、男は歯を食いしばって階段を上って行った。
だが、当事者ではないAは、ただただ目を瞬かせるしかなかった。
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牧高(プロフ) - 楽しく読ませていただいてます☺️続きはどのように見れば良いのでしょうか……？ (5月29日 6時) (
レス) id: 40bd569e74 (このIDを非表示/違反報告)
夜叉 - とても面白く読ませていただきました。 続きが気になります。 この小説好きです。 (2022年11月28日 18時) (レス) @page48 id: 6eda935019 (このIDを非表示/違反報告)
空天 馬(プロフ) - cheap sweetsさん» そう言っていただけるのが何よりも幸せです。読んでくださってありがとうございます！ (2018年9月25日 17時) (レス) id: e9bd85a3ea (このIDを非表示/違反報告)
cheap sweets(プロフ) - とても面白いです。楽しく読ませていただきました。 (2018年9月25日 17時) (レス) id: e7a61814de (このIDを非表示/違反報告)
マナ - 更新お願いします！ (2018年8月15日 13時) (レス) id: 7a5b092a46 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：空天 馬
| 作成日時：2016年7月13日 3時
