番外編 小さな僕と教授 ページ37
広い敷地の大きな屋敷。
中へ入るとまず目に飛び込んでくるのは、どこまでも続くような廊下。そしてそこには、深紅の絨毯が長々と敷かれている。
現在、セブルス・スネイプはそんな屋敷にいた。
「おお、セブスル。よくきたな」
「何の用だ。わざわざ家に来いとは、どういう事ですかな？」
「セブルスに息子を紹介しようと思って呼んだのだ。A、こちらへ来なさい」
「はい！」
スネイプが声をした方を見ると息を呑んだ。2、3歳の子供だろうか。
キラキラと輝くような金色の髪に、薄っすらと開いた瞼から覗くサファイアのような群青色の瞳を持った、男とは見えない綺麗な顔立ちの子共が母親と手を繋いでこちらに歩いて来た。
「Aだ。かわいいだろ？」
スネイプがAをジトッと見ると、Aも穢れを知らないような瞳で見つめ返す。
「……用はすみましたな。吾輩はホグワーツへ戻る」
そうスネイプが玄関へ歩きだそうとしたその瞬間、足元に何かがくっつくような感覚がした。
「もういっちゃうの？」
くっついたのはAだった。
スネイプの顔を見上げるように顔を上げ、瞳を潤ませながら縋りついている。
「あらあら、セブルスったらAに気に入られちゃったみたいね」
「……離せ」
「や！」
スネイプが離せと何度も言うが、一向に離そうとしないA。どうしたものかと考えていたスネイプに
「遊んでくれたらはなしてあげる！」
と、Aがそう言った。
仕方が無く、諦めて子供の遊びに付き合っていたスネイプだったが、時間が経つとAは疲れ果てて寝てしまった。
「すまなかったね、セブルス」
「―――いや」
そう言ったスネイプの顔はいつもより若干、和やかのように見える。
スネイプは再び別れを告げると、ホグワーツへ戻っていったのだった。
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作者名：空天 馬
| 作成日時：2016年6月11日 1時
