第十三話 クリスマス ページ16
「雪、か」
セーターを着込み、軽く腕を擦る。
季節が移り変わるのは早いもので、少し肌寒く感じる季節になった。窓から外を見ると、辺り一面真っ白だ。
「かわいそうに。家に帰ってくるなと言われて、クリスマスなのにホグワーツに居残る子がいるんだね」
「ドラコ、」
気分が悪く嫌味に、後ろへ振り返る。プラチナブロンドの髪は見覚えのあるモノであり、薄いグレーの瞳を細めていたドラコが腕を組んで立っていた。
何故か分からないが、クィディッチの試合以来、ドラコはハリーに嫌味を言うようになった。
「いいんだ」
「……そうか。なら、僕は何も言わないよ」
肩に手を置かれて、口を噤む。当の本人がそう言うのなら、僕は何も言わない。気にしている程、苦悩するだけか。
ハリーも無視すると言っているし、僕も気にしないようにしよう。
授業が終わると、僕達はニコラス・フラメルと言う人物を探すために、図書館へ向かった。しかし、探し回ったのは良いが目的の本は見つからない。
これと言った手掛かりがないまま、クリスマス休暇を迎えた。
クリスマス休暇が始まると、僕は家に帰っていた。本音を言えば、家に帰る足が重かった。代々スリザリン寮に所属していた家系の中に、グリフィンドール寮所属の人間が現れたのだ。
歪んだ思想を持つ父様だ。何を言われるか分からない。
「……はぁ」
意外なことに、あまり父様と母様はそのことについては触れなかった。……それだけで終わればよかった。寮について言わない代わりに、穢れた血と関わってないかしつこく聞かれる。
うんざりして、僕は自室に戻った。
ベットの横にあるのは、大量の贈り物。一番上に置いてあったのを手に取るが、差出人は記憶にない。他にも、知らない人から送られてきていて溜息が出る。
とりあえず、知り合いのプレゼントだけを開けることにした。
「三人らしい」
ハーマイオニーからは見たことが無い本。ハリーとロンからはお菓子の詰め合わせで、ドラコからは深緑の高そうなピアスだった。
「ピアス、か」
右耳には元から穴が開いていたから、そこにつける。なぁんか、グリフィンドールなのにスリザリンみたいで変な気分だ。
「……?」
ふと、シンプルな箱に目が引かれ、引き寄せられるかの様に箱を開ける。中には魔法薬の本とカードが入っていた。
カードにはS.Sとだけ書いてある。
まさか、と思い、僕は母様の元へ向かった。
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作者名:空天 馬 | 作成日時:2016年6月11日 1時