第三十一話 一件落着 ページ34
「捕まえろ！」
クィレルがハリーの手首を捕まえる。が、直ぐに手を離した。何故か分からないが、クィレルの手が真っ赤に焼けていた。
「ご主人様、やつを押さえていられません。手が……、私の手が！」
クィレルがそう言うと、ヴォルデモートは僕たちを殺せと命令する。そして、クィレルが死の呪文を掛けようとしてきた瞬間「ステューピファイ！」とポケットから杖を取り出し、失神呪文をあいつに向けて放つ。
呪文は見事に当たったようで、クィレルは悲鳴を上げ倒れた。
「……ハリー。無事、か」
ハリーがいる場所へ急いで駆け寄る。返事はないが、胸に手を当てると心臓も動いているし、呼吸もしっかりとしている。
「―――よかった」
安心して意識が薄れるのを感じた。次第に体に力が入らなくなり、僕はハリーの傍に倒れた。
「……？」
目を開けると、白い天井が見えた。周囲を見渡すと医務室だった。脇のテーブルには、大量のお菓子が積み重なっている。
「おお、Aも起きたかね」
「あの、石はどうなったんですか？」
目覚めて早々話す話ではないと思うが、校長に聞く。聞けば、石は壊してしまったらしい。
「地下で、君達とクィレル先生との間で起きたことは秘密でな。秘密と言う事は、学校中が知っているわけじゃが」
「校長、ヴォルデモートは消滅したんですか？」
「いなくなったわけではない。どこかに行ってしまっただけじゃ。誰かに乗り移る体を探していることじゃろう。さぁ質問は終わりじゃ、そろそろこのお菓子に取りかかってはどうかね？」
いなくなったわけではないか。醜い生への執着心だな。なんて思いながら、大量のお菓子をチラリと見て溜息が出た。
ハリー達に渡すとしよう。
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作者名：空天 馬
| 作成日時：2016年6月11日 1時
