第二十六話 漂う腐臭 ページ29
時々見つかる血痕に胸糞悪くなる。一体誰がこんなことを。
―――すると、突然赤い火花が上がった。
驚いて振り返るとドラコがネビルの後ろに回り、掴みかかっていた。
「……何してるんだ全く」
どうやら、ネビルが驚いて打ち上げたようだ。
しばらくして火花を見たハグリッドがやって来て、ドラコを怒る。再び組み分けをし、次はネビルとハリーが入れ替わる形になった。
森の奥深くへ三十分ぐらい歩いた頃。
木々たちが絡み合いながら生い茂っていて、道を辿るのも無理なところまで着いた。
木の根元には大量の血が飛び散っていて、その木の向こうに開けた平地が見え、そこには純白に光輝くものが見えた。
「……ユニコーン」
美しく、悲しい光景。居た堪れなくなって目を逸らす。
ハリーが一歩踏み出したその時、ズルズルと滑るような音がした。
何だアレは。あんな生物、本でも見た事がない。思わずトロールの時とは違い、足が立ちすくんでしまった。
暗闇の中、頭をフードに包んだ何者かが一角獣の傷口からその血を飲み始める。
音を立てず、静かにやり過ごすか。
「ぎゃああああアアア！」
その考えもあっという間に打ち消される。ドラコが絶叫し、ファングと一緒に逃げ出した。絶叫を聞いたフードに包まれた影が真正面からこちらを見た。
その影は立ち上がり、こちらに向かって素早く近付いてくる。
すると、ハリーが僕に倒れ掛かってきた。
「なッ―――！ハリー？どうした！！」
焦る僕に対して、どんどん影が近付いてくる。
こうなればハリーだけでも守らないと。ドクドク煩い心臓を耳障りに思いながら、影に向かって杖を向ける。
その瞬間、真上を何かが飛び越え影に向かって突進をした。
「怪我はないかい？」
プラチナブロンドの髪の毛で、胴体は黄褐色のケンタウルスが立っていた。
「……大丈夫です」
「あれは何だったの？」
しかし、ケンタウルスは答えない。
「早くハグリッドのところに戻った方がいい。今、森は安全じゃない。特に君達にはね。私に乗れるかな？その方が早いから」
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作者名：空天 馬
| 作成日時：2016年6月11日 1時
