第十一話 初試合 ページ14
「朝食、しっかり食べないと」
ついに、クィディッチの―――ハリーの初試合の日になった。緊張しているのか、ハリーは一つも朝食に手をつけようとしない。
「なにも食べたくないよ」
「ハリー、力が出ないぞ。ほら―――口、開けて」
緊張で喉を通らない気持ちは分かるが、流石に何も食べないのは不味い。そこらへんにあった食べ物をスプーンで掬うと、僕はハリーの口元に運んだ。
気恥ずかしそうに咀嚼した後、ハリーは立ち上がる。
「そろそろ行くね」
「応援してる」
試合の時間になり、僕とロン、ハーマイオニーは観客席に向かう。クィディッチは、魔法界で人気を誇るスポーツで、会場は熱狂していた。
フーチ先生が笛を吹き鳴らすと、両チームは一斉に飛び上がる。
「アンジェリーナ選手決めた!グリフィンドール10点!」
早速、グリフィンドールの選手がゴールを決めた。見事な動きだ。その近くにいたハリーが、何かを追うような走りに変わる。どうやらスニッチを見つけたようだ。
しかし、それをスリザリンの選手が妨害する。
「おい、卑怯だぞ!!」
だが、妨害の仕方が問題があった。スリザリンの選手は、勢い良くハリーに向かって突進した。下手すれば命を落とし掛けない行動に、観客席からはブーイングが起こる。
僕もあの選手の行動に、不快感を抱いている。
ふらついた体勢から戻ったハリーに声援を送っていると、違和感を感じた。
「……ロン、ハーマイオニー。ハリーの動き何かおかしくないか?」
首を傾げながら、え?と言うロン。そこでハーマイオニーが、向かい側の観客席でスネイプ先生がハリーを見つめ何かを呟いていると叫ぶ。
「スネイプよ!箒に呪文をかけてる!」
「箒に呪文を!?どうすりゃいいんだ?」
「私に任せて!」
杖を取り出して、ハーマイオニーはスネイプ先生のいる観客席へ走って行く。
しばらくハリーを見つめていると、箒の動きが停止した。どうやら向かい側の観客席でハーマイオニーが何かをしたおかげだろう。
ハリーが地面に降り、気持ち悪そうに口元を押さえ、金色の何か吐き出す。
―――スニッチだ。
「スニッチを取ったぞ!」
ハリーの雄叫びと共に、グリフィンドールの観客席は歓声でいっぱいになった。
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作者名:空天 馬 | 作成日時:2016年6月11日 1時