道37 ページ39
辺りを見回して何かを探しているような川上は、私を見つけると鬼の形相でこちらに向かってきた。
私は、恐ろしくて動けなかった。
音二郎「てめぇ、画家辞めたとはどういう了見だ!」
・・・音奴さん、男がでてます。
音二郎「とりあえず、置屋に来い!」
有無を言わせずに首根っこ掴まれて連れて行かれる。
途中、泉も連れて行かれた。
泉は最初、川上に向かってぎゃぁ、ぎゃぁ騒いでいたが私に気がつくと黙りこくってしまった。
どうやら泉も画家を辞めたことを知っているらしい。
・・・なぜ、知っているのだろうか?
しばらく歩いていると置屋に着いた。
そして、川上の部屋に三人で座っている。
部屋に入ってから誰も話さないのでとりあえず疑問をぶつけてみた。
A「・・・どうして、私が画家を辞めたことを知っているの?」
鏡花「芽衣だよ。」
たった一言に納得した。
菱田と同じ下宿先のあの子なら知っていてもおかしくない。
音二郎「で、お前は今日は俺たちに辞めたことを言いにきたわけ。」
A「うん。」
鏡花「・・・どうしてやめたの?」
A「・・・元々、連作が終わったら辞めるつもりだったんだ。」
音二郎「・・・その連作すらやってねぇじゃねぁか。」
A「・・・うん。どうしてだろうね。菱田の言ったことに怒れて、感情で物を言って、気がついたら、岡倉先生に辞めるって言ってた。」
鏡花「・・・何それ。」
呆れたように言う泉はもっともだ。
でも、私にもよくわかっていないんだから仕方ない。
音二郎「・・・すんげぇ、俺の勝手だけどさ、良かったと思ってる。」
鏡花「はぁあ?!あんた何言ってるのさ。」
音二郎「いや、鏡花ちゃんが思っているようにじゃなくってさ。今の目を見たらさ。」
鏡花「・・・ああ、そういうこと。」
なぜだか納得している泉を見てただ私は「きょとん」とするしかない。
そんな私を見て、泉がため息をついてから、
鏡花「だから、他に意欲を向けていなくて良かったってことだよ。」
音二郎「だってよ。そんな死んだ目してるってことはよ、まだ画家としてやりたいってことだろ?だからだよ。」
・・・言われて気がついた。
私はまだ絵が好きで、まだ描きたいってことを。
その後、二人と少し話してから家に帰った。
でも、絵は描かなかった。
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え〜、ここまで見てくださってありがとうございます。
本当に感謝です。
これからも、よろしくお願いします。
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紅藍@元あからん(プロフ) - 超面白いです!応援してます! (2015年4月2日 14時) (レス) id: a6b244fd92 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:芥川黒策 | 作成日時:2014年1月29日 20時