明治の恋道(めいこい) (ページ38)

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道36 ページ38

私が美大をやめてから三日がたった。

その間やっていたことと言えば、
　起床、食事、読書、勉強か兄や父について軍部の仕事、就寝
これだけだ。

母や姉は私を見ていられないようで、声を掛けても来ない。
どうやら兄たちも同様のご様子。

私はというとただぼんやりと物事をこなしている。
考えているのも何もすることがないから、ただそれだけだ。

明日は鹿鳴館で舞踏会がある。
私は、僕として参加する。
しかし、学生服ではなく軍服での参加だ。
陸軍人事局の人間としてーーーーーーーー。

ふと、画家を辞めたことを川上や泉に伝えていないことを思い出した。

今日はこれから予定もないので神楽坂へ行ってみることにしよう。

外に出て歩いているといくつかわかったことがあった。
普通なら色であふれているはずなのに白と黒でしか私の目には映らない。
まるで、自分の絵の中に入り込んだ見たいね。

そして、物の怪の声がやたらと多く聞こえる。
どうやら物の怪に取り付かれやすくなっているらしい。
・・・当たり前ね。
何せ、今は空っぽなんだから。

ぼんやりと思考を繰り返しながら神楽坂の尾崎邸へと向かう。

ふと、見ると毘沙門堂の前に振袖をきた女性が立っていた。

・・・よく見ると川上だった。
色がないとかなり分かりにくい。
色鮮やかな赤も今の私の目には白黒でしか映らない。
少しだけ虚しくなった。

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次に行きます。