お粥と心の底 ページ5
取り敢えずベットには寝かせたし、手当てもささやかながら終わった
気付けばお昼はとうの昔に過ぎており、腹の虫がグウグウと鳴っていた
あの人が起きてなかったから良かったのだけれど、これは他人には見せられない姿ね
少し遅い昼ご飯を摂り、寝ているあの人の分を作る
病気じゃないし、別に何でも構わないんだけど…………
まぁ、お粥で良いわよね
別に面倒臭いとかではないわよ？
只、簡単だし、消化にも良いから……
出来上がってから、様子を見ようと彼の人が寝ている部屋の扉を開ける
すると、目を少し開いた彼がいた
『あら？起きたのかしら？』
アタシが声をかけると、驚いたのか条件反射なのか……少し体を起こした
あぁ、駄目よ
『あ、無理しておきちゃ駄目よ。また傷が開くかも知れないから』
アタシが制す様に近寄りながら話すと、彼は一瞬身を固めた
……訳ありって所かしら
どっちにしろ、アタシの部屋の前で倒れていたのなら普通の人じゃないわね
何故かって？
アタシの部屋はエレベーターから離れた場所にあるの。
そしてマンション自体もかなり急な坂の上。
こんな、動くのも躊躇う様な身体で来れる筈が無いのよ
例え、火事場の馬鹿力だったとしても
でも、理由は聞かないわ
聞いたって分からないもの
只、アタシはこの人が治るまで、動ける様になるまで部屋を貸せば良いの
泥棒だとしても構わないわ。
何かを盗って逃げると言うことは回復したという事。
それならそれで良いのよ
馬鹿だといわれても、アタシは自分のした事を間違いだとは思わないわ
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作者名：白昼のアマリリス | 作成日時：2017年5月9日 0時
