もう1人のメンバー (ページ44)

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昔の話ページ44

ショーウィンドウに移る自分の姿を見て
髪の毛を整える

『…髪型よし、服装もよし』

独り言のように呟いて

『はぁ』

なんであたしがこんなとこに…
っていう意味を込めてため息をひとつ

目の前には周りに比べて小さな建物

でもあたしには初めてな場所でとても

『怖い』

でも、妹たちが応募したんだもんな…

断りに行かなきゃ

あたしは女子なので、
ナムジャアイドルにはなれませんって

…大丈夫だよね？
お金払わされたり…なんかすごいことにならないよね

あぁ、怖い

「大丈夫ですか？」

近くにいた人に声をかけられる

『え、あの、オーディションの顔合わせに…』

「あぁ、Aさんですね？？」

その人に連れられて建物の中に入っていく

名前を知ってるってことは…お偉いさん？

そんなことを1人考える

事務所の個室の中

『あ、あの』

2人っきりで向かい合って座る

PD「ん？ここに名前書いて、
ハンコ押したら明日から寮に入ってもらって」

たんたんと広げられる紙
よく見ると契約書の文字が…

oh…あたしには荷が重いよ…

契約書の紙を掴んで

『いえ、名前は…書けません』

申し訳なさそうに返そうとするけど

PD「どうして？？
親御さんに反対されてるとか？
じゃあ今から私が挨拶に行ってくるよ」

『いえ、そういう訳では…』

今はその優しさに心が痛む

『今日は話をしに来ました』

PD「話？？」

あたしは

両親が居ないこと

この募集は妹たちが送ったこと

歌もダンスも何も出来ないこと

そして、

『あたしはナムジャじゃないんです』

そうハッキリと言葉を並べた

ﾄﾞｷﾄﾞｷ

変に緊張して心臓が早い

冷や汗もでてきた

帰れ！！なんて怒鳴られるかな

多分あの時のあたしは誰が見ても
小さく丸まってたと思う

それぐらい、こわかった

PD「…そうなのか」

『はい』

すると、資料とあたしを交互に見ながら何かを考えてた

PD「…コンセプト的には7人…いや、8人でいきたい

ビジュアルも悪くないし…

身長も…君なんcm？？」

身長？？？

『え？？っと170cmほどです』

そうか

その一言で終わる会話