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YG side
俺とAに沈黙が流れる
じーっと見るAから目が逸らせなくなった
どうしよう、そう思ったとき
沈黙を破ったのはまたあの二人の声
「そーそー聞いたんだけどさ、あいつ
゛両親がいない ゛
らしいぜ？｣
その言葉に反応したのは俺だけじゃないようで、
目の前のAの肩がビクついた
まじかよ！なんて笑い声が聞こえてくる
自然とAの目線が下に行く
この話はホントのことのようだな
それでも、会話は止まらない
「しかも兄弟を養うためかなんかで、
練習生として入ったんだろ？」
「場違い感半端ねーな」
「だな、すぐ辞めるわ」
ふざけんな
そう思って、足が勝手に動く
練習室の扉に手をかけた時
『やめて』
足が止まる
止めたのは、俺の手を掴む手と
今にも消えそうな声
それにまたイラついて
YG「言われて悔しくねーのかよ！」
我を忘れて声を荒らげる
俺と反対に変に冷静なAが居た
『わかってる、でもしょうがない』
事実だから
その言葉にまたイラつく
YG「…んでお前は！！」
そのときの俺はどーにかしてたんだとおもう
今じゃ考えられないほど冷静に居られなかった
勢いよくAの胸ぐらを掴んで
YG「言い返せよ！！
お前は悪くねーだろ！！
お前が！！！
デビュー出来るのだって、オキニとかの問題じゃねぇ！！｣
『…ユンギヒョン』
俺を呼ぶ声も聞こえない
YG「それに！！！
親がいねぇ、兄弟を養う！！！だから場違い？？？
そんなことが問題なんじゃねぇ！！
お前の努力が認められてんだよ！！！
だから！！！デビューすんだろ！？
もっと人に興味をもて！自分を大切にしろ！！
俺に…兄弟を頼れよ！！！！｣
最後まで言いきった俺は肩で呼吸をする
あの時のことを思えば、
恥ずかしげもなくよくあんなこと言えたなって思う
でも、今までの本音を言いきった
それだけで俺は満足しちまった
じっと、Aの顔を見て
やっと今、俺はAが一線を引く理由
自分を語らない理由が分かった
簡単なこと
言わないんじゃない
言えないんだ
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作者名：ちきん | 作成日時：2021年6月21日 20時
