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だいすき ページ42

「硝子ちゃん、火、いる?」
「あれ、Aじゃん」

硝子ちゃんは私が呪詛師になったのを知っているだろうに、特段変わらない態度で接してくれている。

「A、お前が好きだって言ってた歌手が新曲出してたぞ」
「え、本当?」
「マジマジ。いつもなら「絶対気に入るから硝子ちゃんも聴いて〜」って言ってくるからさ。曲入れたけど、聴く?」
「聴く!」

ああ、好き。やっぱり大好き。私は呪詛師になったのに。人を殺したのに。
いつもと変わらず他愛のない話をして、笑い合って。
二人でくっついて曲を聴いていると、ふと硝子ちゃんが尋ねた。

「ねえ、A。なんで私に何も言わなかったの?」

べつに、言いたくないなら言わなくたっていいけど。
そうやって、何でもないみたいに笑ってくれる。そんな硝子ちゃんが、やっぱり私はどうしようもなく大好き。

「ずっとね、私は叶えたい夢があったんだ。でもさ、夢を叶えるには犠牲が必要だって気が付いちゃって。ちょっと疲れちゃった」

だからこそ私はどちらとも取れる言葉を吐いた。
大好きだから、知られたくなかった。悟られたくもなかった。

甚爾さんを助けるために死にかけるまで任務を入れて、大金払って別の呪詛師を身代わりに殺した。
理子ちゃんと黒井さんを助けるために天元様の信者を影武者にして殺させた。
灰原くんを助けるために赤の他人を代わりに見殺しにした。
夏油くんの代わりになるために、100人以上の人を嬲り殺した。

背負った罪の数があまりにも多すぎて、普通の幸せなんて選んでられなかった。
私はただ大好きなみんなと一緒にいたかっただけなのに。
大好きなみんなに生きててほしかっただけなのに。

「だからね、私は皆が大好き。嫌いになったわけじゃないんだよ。大好きだから、誰にも知ってほしくなかったんだ。だからこそ、さよならを言わなきゃと思って。」
「……そうだね。お前ってそういう奴だもんな。私も、大好きだよ、A。」

ぎゅう、と硝子ちゃんが私の体を抱き寄せる。やっぱり硝子ちゃんは少し煙草臭い、大人の匂いがした。

私を離してから硝子ちゃんが顔をのぞき込むようにして聞いてくる。

「今更だけどさ、一応聞いとく。冤罪だったりする?」
「しないねえ、残念ながら」

そ、とだけ言って硝子ちゃんは携帯をいじり出す。多分二人を呼ぶんだろう。

……二人に何を言われるのか、今更不安になるなんて。

大事なこと→←冗談だったらどんなに



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あいすくりぃむとちょこれぃと(プロフ) - Wolf @ 元フェアリーさん» コメント感謝です!神と人とでは感覚が違うんでしょうね。神様的には100%善意です。朱雀は神様が考えたルールとか法則の抜け道をなんとか探し出してる感じですね。なお、ループしてる一番の原因が神様だってことは多分一生気づかない。神様は直接関わってこないので。 (7月21日 2時) (レス) id: b2ed5b6349 (このIDを非表示/違反報告)
あいすくりぃむとちょこれぃと(プロフ) - あさん» コメントありがとうございます!どうかお楽しみに…… (7月21日 2時) (レス) id: b2ed5b6349 (このIDを非表示/違反報告)
あいすくりぃむとちょこれぃと(プロフ) - りんさん» コメントありがとうございますm(_ _)mもう少しだけ続きます…… (7月21日 2時) (レス) id: b2ed5b6349 (このIDを非表示/違反報告)
Wolf @ 元フェアリー(プロフ) - 神様が1番狂ってると思うのは私だけですかね・・・ (7月21日 2時) (レス) @page46 id: ebc545326a (このIDを非表示/違反報告)
- 楽しみです (7月8日 21時) (レス) @page50 id: 23ef5c5b40 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あいすくりぃむとちょこれぃと | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2021年4月29日 12時

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