悠仁は馬鹿。はっきりわかんだね。 ページ10
『悠仁に会わせてください』
私は今、五条先生に悠仁に会わせてほしいと交渉中です。
「いいの?A、辛くないわけ?」
『そりゃ、辛いですけど…』
生き返るって知ってるし、とはさすがに言えず。
『最後に一目家族の顔をみておきたいじゃないですか。
呪術師は遺体が残らないものなんでしょ?
綺麗に残ってるんだったら、それくらいいいじゃないですか』
適当な言い訳をでっち上げた。
「…そ。いいよ、ついておいで。」
そこに悠仁は横たわっていた。とても静かで、普段の喧しさはどこへやら。
静かに怒りをにじませる五条先生の声と、伊地知さんの困惑した声、それを窘める家入さんの声。それらが全部遠くに聞こえて。
悠仁は生き返る。それはわかってる。
おじいちゃんが死んだ時のことをふと思い出した。
それから、遠い記憶。
-----150年もの、前の話。
泣き叫ぶ女と、それを見て笑う男。
額に縫い目のある、気味の悪い男。
“私たち”をビンごと抱きしめて、ごめんね、ごめんねと泣き続ける“母”の記憶。
辛かったろう、苦しかったろう。私たちを恨んだことだってあるだろう。
そんな“母”が静かに目を閉じた時、生まれて初めて、
【死】というものを知った。
忘れたつもりだった。
けれど、おじいちゃん、悠仁と、死を目の当たりにして、
抱いたのはただただ理不尽なこの世への殺意だった。
生き返るにしたって、勝手に死なないでよ、バカ。
「おわっ!フルチンじゃん!」
目を覚まして第一声がそれって。
まあ、それが悠仁らしいけど。
『おはよ、ねぼすけ』
ようやく術式の名前出せた…by作者→←これって勘違い小説だったけ?by作者
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作者名:あいすくりぃむとちょこれぃと | 作者ホームページ:なし
作成日時:2021年4月2日 9時