So that it does not melt.【実況者】

＃24 ページ26

『……お兄ちゃん？』





呼びかけても返事がこない。


顔を見ると、眠ってしまっているようだった。






『…どうしよ』






私じゃお兄ちゃんは部屋まで運べない。



でもここ、玄関だし…引きずって行くのもなぁ。



私が頭を悩ませていると、バッグから着信音。



スマホを取り出すと、








『…アブさん』







着信相手はアブさん。最近よくかかってくるなぁと思いながら、電話に出た。







『…もしもし？』


《こんばんはー！！今大丈夫？ご飯作りすぎちゃって、余ったから良かったらいらないかなって》








私は慌てて時計を見る。


時計の針は夜の7時を指していた。








『え、うそ！？こんな時間…』


《あ、ごめん。外出中だった？》



『あ、いえ。…そうだ、アブさん。勝手なことを頼むみたいで悪いんですけど、キヨを運んでくれませんか？』




《……キヨくんを？》




『はい。えっと…玄関で寝てしまったので……それと』




《ん？》





『………アブさんのごはん、頂いてもいいですか』






《っっっ〜！！！！わかった！！！！すぐ行くね！！！》











電話の向こうで何かがぶつかった音がして、「あいたっ！？」と言う声がした後、電話が切れた。






『……そんなに急がなくていいのに…』







私はキヨを玄関に寝かせてリビングに入り、電気をつける。




テレビがついていて、戦闘ゲームのポーズ画面が表示されていた。








『…撮ってたんだ』










カメラはバッテリーが切れて動いていない。ギリギリのバッテリーでカメラを回したのかな。






私はカメラとカメラスタンドをキヨの部屋にしまって、リビングを見られるものにするべく、片付けを始めた。

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