So that it does not melt.【実況者】

＃22 ページ24

母親の目に戸惑いの色が差す。






「なあ、今どこに住んでるんだ？子供は？いるんだろ？どうなんだ？アイスなのか？なあ！！！」



「………あ…」







母親は男の手を振り払った。




でも、その男が母の手を掴んで離さない。




俺が木陰から身を乗り出した瞬間、男と目が合った。








「……子供…小絵(さえ)のか！！！！！」





『っ、ひ』




「拓也！！！！！逃げて！！！」




『ま、ま！！！！』




「はやく！！！！！」










母親は変に汗をかいていた。





…いや、あれは











「はやく！！」











母親の声に気圧されて、俺は立ちすくんでしまった。









男が母親を抱えながら、ゆっくり歩いてくる。














「…なあ、ボク…妹はどこだ？」









『し、らない』














母親は俺を見て泣いていた。















「………拓也」







『ママ…』







「…………やくそく、よ？」


















母親は笑った。







滴る水滴が、足元に水たまりを作っている。



















「もう少し、早ければ…」



















母親はそう呟いて、





















ぱしゃん
























音を立てて、男の腕の中から消え去った。

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