So that it does not melt.【実況者】 (ページ15)

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Thirteen 《 ice 》ページ15

次の日。

「A！…おはよ」

フジが、ふわりと微笑んだ。私も「おはよう」と、挨拶を交わす。

今日はフジと一緒に、街に買い出しへ出ることになっていた。

なんでも、動画の企画のタネを探しに行くそうで。

隣で車を運転するフジを見ながら、

…フジ、いつも普段着おしゃれだからなぁ…なんて考える。

適当な服を合わせて出て来た私がバカみたいに思えてくる。

いや、デートとかじゃないから別にいいんだけどね。

今日だって、本当はキヨが行く予定だったんだけど。

数ヶ月後にあるイベントの打ち合わせがあるって言って、一昨日くらいにドタキャンしたらしい。

ヒラもこーすけも仕事だったらしいから、結局私しかいなかったって、フジが頭を下げて来た。

好きなスイーツを奢ってもらうっていう条件で承諾したけど！！

「………あ。そういえば、今週の夏祭り、来るんだって？」

『……誰情報？』

「アブさんが嬉しそーに言ってたって、レトさんがね」

『………いや、まあいいけど…』

「浴衣で行くの？」

『……持ってない』

「ええ！？勿体無い！買いに行こうよ。ついでに」

『えっ！？私今日お金3千円しか持って来てないよ！？』

そう言うとフジに笑われて。

「必要最低限のものしか用意しないところ、ホントキヨにそっくり…w」

『うるさいなー。兄妹なんだししかたないじゃーん』

「でも、普段はAの方がテンション高いよね」

『あんま変わんないよw』

そう。動画でばか騒ぎしてるうちの兄だけど、動画以外では本当に暗い。

暗いっていうか、静か。テンション低め。

「……あ、ついたよ。降りて！」

『りょーかい』

私はシートベルトを外して、車から降りる。

着いたのは大きなショッピングモール。

鍵をクルクル指で回しながら先を歩くフジを見て、なんでか切なくなった。