もしアイナナの世界にトリップしたら

一歩を踏み出したい2 ページ34

すっごい…………。


ありとあらゆる衣装がこの部屋にはあった。


「これ……モンジェネの衣装だ…。」


7人分衣装があるからかなり大量にある。


その中の赤い衣装を手に取ると、結構くたびれていて、ぼろぼろなのがわかる。

「それは路上ライブしてたときによく来てたやつだからもうボロボロなんだよね」



いまのステージのときはそんなボロボロ着せられないけどね……。と笑う万理さんは優しい笑みを浮かべている。


「この衣装たちも愛されているんですね……。とても伝わってきます。ライブでの高揚感、臨場感、大好き！って気持ち…」


ふと見ると、デザインの設計案が積み上げられている場所を見つけた。


「これは……？」

どうみても書きかけのものが多い。



「うちで働いてた衣装デザイナーがね……この間蒸発しちゃって……」


蒸発！？


「いったいなにが……」


「これ、見て。」



万理さんがiPadを渡してくる。



「……………なにこれ」


そこには数えきれないほどのアイナナへの非難……否。衣装への非難があった。


「こんなの似合わない、踊りにくそう……デザイナーバカなんじゃないの？…………酷い……。」


「結構前からあったんだけど、最近スランプだったみたいで。


8日後のステージに着る衣装……できていないんだ……」



………………は？


8日後！？！？

「いやいやいや！もう無理でしょ！」


「うん……デザインの案は4週間前締め切りだったんだけどね。


蒸発しちゃったから……既存の衣装になっちゃうかな。ライブ」


そんな……。


衣装だって演出の一つだ。

「これ………」

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