悪役令嬢なんかじゃない！【nqrse】

05. ページ5

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それからまた数日。具体的に言うと三日後。


「久留々木さーん、この本どこー？」


また性別不詳のピンク先輩が来た。その手には、かなりメジャーな冒険忌憚。

「それはここから三つ歩いた所にある本棚の上から二段目あたりですね。少し塗装がはげてる棚です」

「ありがとー。


……………え、全部覚えてんの！？」


「全部ではないですけど、まあ」


かなり大きな声が、静かな図書室に響き渡る。

誰かの迷惑にならないような隅っこでよかったと少し安堵してから、大したことでもないのにと先輩の訪問に上げた視線を再びページに落とす。


てくてくと本棚の方に歩いていった先輩が戻ってきて、近くにあった椅子と机を引き寄せて私の反対側に座った。

そのままピンクベージュのガーディガンを脱いで、すっかりくつろいでいる。

膝に本を乗せていた私との間に机が入り、反対側に先輩がいる形になる。



「…………先輩、カウンター前の机の方が読みやすいと思いますけど」

「ここでいーの」


頬杖をつきながら片手で本のページをめくる先輩はかなり絵になっていた。

どこぞの美術館にある絵画みたいだなぁ、なんて思いながら、私はまた視線を先輩から本に戻した。

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