悪役令嬢なんかじゃない！【nqrse】

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「ど、どうしよう…？」

とある小綺麗なアパートの一室。


白とピンクを基調としたかわいらしい部屋の、これまたかわいらしいドレッサーの鏡の前に立っている赤髪の少女が、むむむ…と唸っていた。

その目の前には、1羽のピンク色の蝶。金色のチェーンが、ドレッサーのテーブルの端からさらりと垂れていた。

少女は顔を歪ませて悩みつつ、鏡の前で髪の毛を軽く一まとめに掴み持ち上げてみる。

軽く左右に首を捻り、横からはどう見えるかを確認。


「………うん、やっぱ付けよう！！」

勢い込んで、半ば宣言するような勢いで叫んだ。

左右両方の髪の毛を一房ずつ取り、美しい動作でするすると編んでいく。そして、最後に他の髪の毛と一緒に蝶で束ねた。

しゃらり、と軽やかにチェーンの音が擦れる音が鳴る。最後に、ピンクの蝶の下のクリップをチェーンについた金色の小さな蝶に引っ掛けて、完成。


そしてそのまま満足そうに鼻から息を吐き出し、時計にチラッと目を向けてから慌てたように声を上げた。


「あ"っ！ヤバい、もう時間だ！」

いってきまーす！と返す人のいない家に叫び、ばたばたと少女は玄関を出た。





鏡の前で唸る少女の顔は、さながら恋する乙女だった。


だが、少女本人がそれに気付くのは、きっともう少し先のこと。





♡♡♡

こういう短いけど思わせぶりなの書いてみたかったんです…後々楽だし………(本音)

お気に入り登録者166人、評価64票で9.6ありがとうございます！(7/9.18:23)

殿堂入りしたいなぁ……(((

ついでに22の解説ですが、フローラルの香りは公式ショップの「だいふくやさん」で、nqrseさん自身も愛用しているとの書き込みがTwitterにあったnqrseさんの香水の香りです。

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