5話 ページ6
「ああ、お帰りでしたかカリム様！」
「皆、カリム様がお帰りよ！湯浴みの準備を！」
「あら、そちらの娘は……？」
一人の使用人が建物の中から急いで走ってきたかと思えば、次の瞬間には使用人達が十人単位でわさわさと出てきた。虫かよ。
口々に皆「カリム様がお帰りだから○○の準備を！」とか叫んでいる。でも、私に意識を向ける人はごくわずかだった。
はっきり言って、私は今かなり汚い。
夏だから今はかなり汗をかいているけれど、熱砂の国は水は貴重だし、私達スラム暮らしには無駄遣いできないようなものだ。
せいぜい、飲料水で精一杯。湯浴みなんか贅沢に出来るほどのお金の余裕はない。
それに、髪の毛だって櫛でとかしてすらいないし、服は三年前に貯金をはたいて買った麻のワンピース。
全体的に薄汚れてるし、ところどころほつれて穴だってあいてる。これかなり恥ずかしい。
「こいつにも湯浴みをさせてやってくれ！」
ぽん、と頭に手を置かれて見ると、天真爛漫と言うのか、無邪気な笑みを浮かべたカリムが見えた。
「し、しかしカリム様………」
「ん？どうした？」
渋る使用人に、心底不思議そうに首を傾げるカリム。
「その娘は誰でしょうか？不審者は入れるわけには参りません………」
ごもっともです、もっと言ってやってくれ。私は早く帰りたいんだ。
「Aだ！湯浴みをさせたら父ちゃんに会わせる！」
「待って待って待ってなんでこの会話の流れで当主出てくるの？？？」
「まあ、A様でしたか！喜ばしいことで……
では気合いを入れて湯浴みしなければ！お召し物も変えなくてはですし……
ささ、A様こちらへ！」
「何、当事者への説明一切無いのもう一周回って笑えるんだけど」
制止の声も聞かないしさぁ。
今私のワンピースじろっと見てから「お召し物も変えなくてはですし……」って言ったの恨むからな。これ買うのかなり頑張ったんだぞ。
様なんてつけられたこと無いし、なんで私がアジームの当主に会わなければいけないんだ。
あとそこの使用人、何が喜ばしいの？？？
なんだろう、私が首切られる記念なのかな………だとしたらとんだサイコパスじゃねぇか。
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マザーグース(プロフ) - ルイさん» 嬉しいです………頑張りますね！ (2021年3月27日 12時) (
レス) id: 446891bd7a (このIDを非表示/違反報告)
ルイ - うわぁぁぁぁめっちゃ好きです！更新頑張ってください!! (2021年3月27日 3時) (レス) id: 719e5dac86 (このIDを非表示/違反報告)
マザーグース(プロフ) - 碧生さん» ありがとうございます！！更新頑張りますね！！ (2021年3月19日 15時) (レス) id: 446891bd7a (このIDを非表示/違反報告)
碧生(プロフ) - 凄く面白いです！更新待ってます！ (2021年3月19日 9時) (レス) id: 7ffc4172b1 (このIDを非表示/違反報告)
マザーグース(プロフ) - ドさん» ありがとうございます。リアルが多忙なため遅くなっておりますが、じきに受験が終わるので更新ペースが上がります。ですので、これからもよろしくお願いします！ (2021年1月28日 12時) (レス) id: 446891bd7a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：マザーグース | 作者ホームページ：
作成日時：2021年1月3日 21時
