4話 ページ5
ついたのはきらびやかなお屋敷……いや、お城？
スラムのゴミ箱に捨てられてたボロボロの絵本に載っていた挿絵のお城レベル。いや、もうちょっとこっちの方が豪華かな。
「ここがアジーム家だ！驚いたか？」
お陰様で顎が外れかけておりますとも。
それを、横から顔を思い切りしかめて嗜めるジャミル。
「こら、カリム！少しは警戒しろ！」
される側の前で言うかとは思うけれど、それはごもっともだと思う。流石に人を信用しすぎだ。
それに対して、にへらっとカリムは笑った。
「でもさぁ、妹かもしれないのに警戒はしたくないだろ？」
妹じゃなかったらどうするつもりだよ、という突っ込みは喉の奥にぐっと抑えて飲み込む。ここで下手に機嫌を損ねるのは私の今後の命に関わるのであまりよろしくない。
多分、スラムにいた私なんか秒で存在ごと消せるんだろうな、アジームは……
金と権力を持つ奴はだから嫌いなんだよ、と全く関係ないのに心の中で毒づいた。
何でも金で解決しようとしやがるし、貧乏人なんかゴミみたいに思ってる奴も少なくない。実際、スラムの人間はゴミみたいなもんだけど。
と言うかそもそも、この人達は何の話をしているのだろう。
馬車にぶつかりかけたのは私が悪かったと思うがあれもよくある幼児の戯れのせいだし、こんなところにまで連れてくる必要はないだろう。
それに、罰を与えるにせよ何にせよ、アジームの次期当主と一緒の馬車に乗って会話までするなんてあり得ないはずだ。私が曲者だった場合、カリムの命が危ないのに。
そして、先程のお母様の話への食い付きよう、二人の会話の端々に出てくる『妹』という単語。
あと、カリムとやらが私の名前を知っていたのも気になる。
私が貴族とかならともかく、なんでスラム出身の私なんかの名前を知っているのだろうか？
あ、言っておくが、私が貴族ってことは多分無い。
母方のラーディア家はどうかよく分からないが、そちらもそんなに大きな家ではないはずだ。だって噂聞かないもん。
それに、もしラーディアが名家だったとしても、お母様がラーディアと連絡を取っている節は無かった。
つまり、ラーディアは私の存在すら知っているか怪しいのだ。ラーディアがいくら貴族でも、認知されていなければそれは貴族扱いも何もそれ以前の問題だろう。
数々の疑問はとりとめもなく浮かび、シャボン玉みたいに頭の中で弾けて消えていった。
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マザーグース(プロフ) - ルイさん» 嬉しいです………頑張りますね！ (2021年3月27日 12時) (
レス) id: 446891bd7a (このIDを非表示/違反報告)
ルイ - うわぁぁぁぁめっちゃ好きです！更新頑張ってください!! (2021年3月27日 3時) (レス) id: 719e5dac86 (このIDを非表示/違反報告)
マザーグース(プロフ) - 碧生さん» ありがとうございます！！更新頑張りますね！！ (2021年3月19日 15時) (レス) id: 446891bd7a (このIDを非表示/違反報告)
碧生(プロフ) - 凄く面白いです！更新待ってます！ (2021年3月19日 9時) (レス) id: 7ffc4172b1 (このIDを非表示/違反報告)
マザーグース(プロフ) - ドさん» ありがとうございます。リアルが多忙なため遅くなっておりますが、じきに受験が終わるので更新ペースが上がります。ですので、これからもよろしくお願いします！ (2021年1月28日 12時) (レス) id: 446891bd7a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：マザーグース | 作者ホームページ：
作成日時：2021年1月3日 21時
