親友ポジは我慢しない【北信介】 (ページ2)

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月は綺麗だけれど、遠いよページ2

「あれ、北先輩やん。
ええの？せっかく話しとったのに、振り払ってもうて。」

『見てたんかいな。､､､まぁもう諦めたし。』

そう言うと
梨沙は表情をふっと暗くした。

申し訳ないけど、もう私にはむりだから。
北先輩にこれ以上振り回されるのは、ごめんだ。
持たなくなってしまう。心が。

「まあ、Aが後悔せんならええけど。
そろそろ準備せな。一応少しはセリフあるんやからー」

『へいへーい』

のそりと立ち上がり
村人Aとしての
衣装を着替えようと
トイレに向かった。

にしてもこんな脇役にも関わらず
結構衣装可愛ええな…。

セリフいうて少ししかないけど
これ着れるんなら案外いいかも？

「あ」

､､､。知らない､､､。私は知らない､､､。

なんでこうもトイレに行くだけで毎回
現れるんだこやつは。

しかも今は皆文化祭回ってるわけだから
人も大勢いるってのに。
洞察力鬼だよ。コノヤロウ。

っはぁ。

無視する訳にも行かずため息をついて
振り返る。

『何や、角名くん。』

あんまし会いたくないというのが本音。
私が角名くんに告白めいたことを
言われ、一応振った身である。

角名くんもまさか反応されると思ってなかったのか
固まってしまっている。

ていうかその手に持ってる
下手くそすぎる看板なに､､､。

もうどれがおにぎりか分からんくらいや､､､。

「え、あ、え、その。
いや、だから。えっと。」

『はっきりせんかい！』

あまりにもうじうじしてるため
耐えきれずつい突っ込んでしまう。

周りの人は明らかに私を変な目で見るし
角名くんは驚きでますます固まるしで
どうすればいいんだろうか、、。

こういう場合は
逃げるが勝ち､､､。これに尽きる！

『ほ、ほんなら。私トイレ行かな！』

「ちょっと待ってよ。話、あるから。
真面目な話。」

体の芯まで震え上がるのが分かる。
私はこれを了承してしまったら
行けない気がする。

でも断っても行けない気がする。

正しい判断が分からへん。

どうすれば、ええの？

『分かっ､､､た。だから、はな､､､して。』

思ったように声が出なくて
震えるような声になったせいか
角名くんはバツが悪そうに離してくれた。

「ごめん､､､。ただ、この前の話について、俺なりに考えたんだ。海川さんの言葉とか､､､結構考えさせられて。」

ドキッとする。
胸がバクバクするのを自分でも感じる。

考えた先には
何があったのか。