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さよならマイヒーロー ページ5

「北さん…。なんだ。居たんですね。
海川さん。またね。」

北先輩に腕を掴まれると
あっさり私の手を離して
理科室から出ていってしまった。

ポツポツポツポツ…
角名くんが残していったのは
気まずい空気だけ。

なんで急に居なくなるのか。
とても困るんだけど。

その沈黙を破いたのは北先輩だった。

「あー、大丈夫か?角名もきっと
血迷っただけや。後できちんと叱っとく。」

『ありがとう、ございます。』

私が一向に俯いているからか
北先輩は心配して
こちらの顔をのぞきこんだ。

「は。そ、そんな怖かったんか!?
大丈夫やで。ほら、もう大丈夫や。」

どうやら私の顔は涙でぐしゃぐしゃになってる
らしく、北先輩は慌てて
私の背中をさすり続けてくれた。

こんな慌てるの、珍しい。

また新しい一面知っちゃったな。

でも、ときめいているのか分かんなくなっちゃった。

今の私の気持ちなんて
私自身も分からないのだから。

『わた…しは大丈夫、です。すみません。
迷惑、かけてしもうて。後は、大丈夫、ですから。』

「大丈夫なわけあるか!ほら、立てるか?
そっちのクラス、もう少しで演劇やろ?
着替えにいかなあかんよな。」

北先輩から一つの手が伸びてくる。
私はその手を撮る迷った末


『自分で立てます。』

その手を取ることなく
立ち上がった。
その瞬間どこか北先輩は悲しそうな顔をして
床に散らばっている私の荷物を取ってくれた。

申し訳ないこと、したんかな。

いやいや、
まず好きでもないやつに手を取られる方が
迷惑やろ!

多分…そう。

北先輩は私への恋愛感情は一切ないと分かっているから。

私も無理やり諦めなくてはいけないのだ。

何が恋だ。
何が愛だ。

意味わかんない。

「…。侑達も最近元気ないで。
なんか知っとるか?」

心当たりがないと言えば嘘になる。
でも、
言いたくない。
言ってしまえばもう、全部終わっちゃう。

『知らないです。すんません。』

「なんや堅苦しい。最近海川…変わったな。」

変わったな、か。
何でそんなに不思議そうなんだろう。
だって人って変化するじゃない。
私だって例外じゃない。

なのに何でこの人は

私の心の中を抉ってくるんだろう。

「なぁ、海川。お前が誰に恋しとるかは知らんけど。
気持ちは、伝えるべきやと思うで。」

私はそれに答えることなく
北先輩と分かれたのだった。

さよならマイヒーロー

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とーうえ れーと - 好きです。頑張ってください。 (1月22日 21時) (レス) id: 52d6184189 (このIDを非表示/違反報告)
みどぅ(プロフ) - 待ってます。 (11月1日 23時) (レス) @page10 id: eaf6f0c936 (このIDを非表示/違反報告)
りんご(プロフ) - 面白かったです!!更新大変だと思いますが待ってます!!! (2022年12月25日 11時) (レス) id: e0ce628341 (このIDを非表示/違反報告)
このちゃ - むっちゃ面白かったです……ドロドロやなぁぁぁぁあ!!!!さいこうぅぅぅぅ!!!!! (2022年12月13日 21時) (レス) @page10 id: 0eb447a2e9 (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - きたさんんんんん (2022年11月26日 21時) (レス) @page10 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆらゆな | 作成日時:2022年9月18日 7時

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