律儀な人 ページ7
新条の演説が終わり再び会場は騒がしくなり始める。
A)あっしの、私クラリオさんとお話したい
しの)んー?…あーアレか、いーよ
Aはしのに手を引かれながら、クラリオと円堂の元へと近づく。
当のしのは一刻も早く新条から離れたかった。
…今この状態で何か起こすとは考えにくいが、Aに近づいて欲しくないのだ。
円堂)おっ、Aにしの!
2人の存在に気づいた円堂が名を呼ぶとクラリオも此方へと振り向く。
しの)よっす
A)ど、どうも…
馴れ馴れしく手をぷらぷらと振るしのに対し、Aは礼儀正しくぺこりとお辞儀をする。
A)あっ、あのっ!クラリオさんに、っつ、伝えなきゃいけないことが…ありまして
クラリオ)何だ?
以前クラリオがハンカチを落としていってしまい。
現在、それをAが責任持って預かっている事について伝えた。
A)すみません…今日お会い出来るとは思わなくて、また返せず終いで…
クラリオ)いや、こちらこそすまない…落としていたとは気づかずに
A)いえいえ…!
申し訳無さそうなクラリオに対し、Aは首がもげるのではないのかという程に横に振った。
クラリオ)…だが、貴方にはずっと謝りたいと思っていたから今日会えて良かった
A)えっ?
クラリオ)私の不用意な発言で不快な思いをさせてしまっただろう
A)…ん?
A)(あ…もしかして私がハンカチ渡しに行こうとした時の…?)
クラリオ)あの後考えてみれば、大変失礼なことを言ってしまっていたな
…確かに大変失礼な事を言われた。
だが、クラリオがここまで気にしているとは全く思わなかったAは鳩が豆鉄砲を喰らったような顔になる。
A)いっいえ、気にしないでください!というか私に落ち着きがなかったのは本当ですし…それに今日こうしてお会い出来たことの方が嬉しいですから、もうそんなこと気にしてません
クラリオ)…貴方は本当に変わっているな
A)?
心から喜んでいるAを見てクラリオは呟いた。
クラリオ)私は貴方が思っている程凄い人間ではないのだが…
A)えっど、どうしてですか…?
クラリオ)あの時のようにすぐ失礼なことを言ってしまうだろう
少し俯いたように言い放つクラリオ。
その姿が何故だか自分と重ねて見えてしまった。
A)……優しいですよ、クラリオさんは
気づいた時にはそんな言葉を零していた。
クラリオ)…優しい?
A)…あの時の事ずっと気にしてくれていたんですよね、ずっと謝りたかったなんて律儀ですよ
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作者名：39 | 作成日時：2023年8月13日 17時
