誤認識 ページ42
A)な、んだったの……結局………?あの人、何がしたかったの……?
野坂の奇行について頭を悩ませて数分。
段々と正気を取り戻し、つい先程まであった事にAは両手を頬に当てる。
自分の頬がとてつもなく熱いという事。
鼓動が聞いた事もない程に速くなっている事実に驚いているのだ。
A)…っ頭パンクしちゃうぅ……
だが、それと同時に「何もなくて良かった」という言葉が心に浮かぶ。
…自分でも何故そう思ったのかは分からないが。
無意識に家に入り、そのままパジャマに着替えていたAはベットにボスンと乱暴な音をたてながら倒れ込む。
A)なんであんな事…?なんでなんで……?野坂くんって杏ちゃんが好きなんじゃ…?
上手く回らない脳みそを必死にフル回転させ、ブツブツと独り言を呟く。
A)……っあ!野坂くんって確かお母さんが……それなら愛情不足とか…?
すると突然、脳裏に線香花火ほどのアイデアが閃く。
そして何時しか聞いた"愛情不足で育った人間"についての話を思い出したのだ。
野坂の家庭環境を知っている以上、Aの考える説も間違っていないとは言いきれない。
A)しのも一時期ずっとハグしたままの時もあったし…!野坂くん、きっと寂しいんだ…!
身内がそうだった経験もあり、我ながらの妙案に1人で感心するA。
傍から見れば無理矢理自分に言い聞かせてるようにも見えるのだが…。
A)…それともああいうのって普通の事なのかなぁ……普通って分からない……
顎に手を当て「うーん…」と唸るA。
A)…ううん、きっとそうだよね、そう思おう
…目を渦巻状にさせた鈍感なAが辿り着いた答えは以下の通りだった。
当の野坂にとっては不憫でしかならないが…。
A)…寝よう、明日は1日ゆっくりしよう……
脳にまで響き渡るドキドキという鼓動の音と共にAは深い眠りについたのだった。
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作者名：39 | 作成日時：2023年8月13日 17時
