サプライズ ページ30
道成)灰崎はどうした?
明日人)灰崎なら星章の方へ行きました
道成)そうか
亀田)今日は、代表組にサプライズがあるんだ!
明日人)サプライズ?
突然、亀田が重大発表だと言わんばかりに両腕を横に大きく広げる。
その姿に明日人たちは不思議そうに首を傾げる。
？)雄一郎
？)きーちゃん
返答するよりもはやく、第三者の声がした。
優しくもまろやかな声と重みのある男性特有の静かな声が名前を呼んだ。
万作)親父!
氷浦)ばあちゃん!
声のした方を振り向くとそこにいたのは万作の父、そして氷浦の祖母であった。
その後ろには、伊那国島の両親達が笑顔でずらりと佇んでいる。
亀田)君達が帰って来るということで、労いの言葉をかけに来てもらったんだ
長らく家族に会えず離れて暮らしていた彼らにとって、これ程嬉しい事はないだろう。
その証拠に隣に立つ氷浦の顔に喜色を浮かべている。
亀田)それと初音と巡音には悪いが…
A)あ、大丈夫ですよ…気にしないでください
言いにくそうに目を伏せ、申し訳なさそうな顔をして話しかけた亀田にAは愛想笑いを返す。
A)(来られても困るもんね…来るはずないけど)
ご馳走を囲み、一同はそれぞれ久々の会話を楽しんでいる。
Aはそんな仲間達を見渡して頰が緩んだ。
A)(…小僧丸くんは小僧丸くんでご両親に会えてるのかな)
そんな事を思っていると、とんとんと背後から肩をつつかれた。
？)あんたがAちゃん、こっちがしのちゃんだね
A)は、はい…えっと…?
Aが体を翻すと、エプロンをつけた年配の女性が立っていた。
のりか)紹介するね、うちのお母さん!
のりか母)のりかから話は聞いてるよ、うちの子と仲良くしてくれてありがとね
すかさずのりかが3人の間に入り、左手を差し向けて自分の母であることを明かした。
A)あっこ、こちらこそ!わ、わた、私の方こそ!っいいい、いつもいつものりかちゃんのお世話になって…!
のりか)A、緊張しすぎっ
初対面の人、そしてその相手は友人の親という事もありAは久しぶりに人見知りを発揮してしまう。
変な手汗をかいてしまい、それを気づかれないようにジャージの裾を力任せにぎゅっと握りしめる。
そしてAの隣に立つしのはのりかの母をじーっと見つめている。
かと思いきや。
しの)のりかママさん初めまして!のりかちゃんと仲良くさせてもらってるしのです〜っ!
のりかの母の手を掴むと、握手を交わしたまま勢いよく上下にぶんぶんと腕を振る。
その声はいつもよりもワントーン高く妙に猫なで声なものだ。
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作者名：39 | 作成日時：2023年8月13日 17時
