罪悪感とプライド ページ19
ヒロト)…お前さ、あいつのこと好きなわけ
しばらく会話もなく静寂が続いていた2人。
その間にまるでタイミングをずっと見計らっていたかのように、隣のヒロトが声をかけた。
A)あいつ…?
ヒロト)言わなきゃわかんねーか?タツヤだよ、タツヤ!
突然、怒りもあらわに強力な大きな声にAは目をぱちくりと瞬かせる。
A)タツヤ?…大好きだよ、少しの間だけだったけど一緒に暮らしてきた家族だって思ってるんだから
ヒロト)っあー、ちげーよ!…あいつに恋愛感情はあるのかってことだ
A)…えっ?
A)(…なんでそういう方向に向いちゃうのかな)
A)…いや、それとのこれとは違うというか……
…恋愛感情ではない。
その事実にヒロトはホッとした。
だが同時に、何故自分がここまでモヤモヤしなければならなかったのかと思うと怒りが募ってきた。
A)…ねぇ、どうして怒ってるの?
先程から見るだけで分かる苛立ち具合に、Aは恐る恐るヒロトに尋ねる。
ヒロト)別に…何にもねえよ
未だ自分の気持ちに気づいてもらえず苛立つヒロト。
だがそれもこれも今まで素直になれなかった自分が悪い、とヒロトは後悔しているのだ。
A)そう…?
そんなヒロトの気持ちに気付けるはずもなく、Aは納得がいかなさそうに首を傾げる。
ヒロト)…よ…
A)え?
ヒロト)……俺が優しくなったら、お前は俺を好きになってくれるのかよ
A)……ん?
突然の言葉にAは驚愕する。
…あのヒロトがこんな事を言うだなんて、聞き間違いか?と言わんばかりに瞳をみはった。
ヒロト)ッだから、俺も他の奴みたいに「ドレス似合ってるな」って言えば俺のこと見てくれんのかよ!
そんなAの態度により苛立った様子で声を荒らげるヒロト。
A)…いや、似合ってるなんて……最初と言ってる事が違うよ
ヒロト)バカ!何でわかんねーんだよ…!ほんっとお前って鈍感でイライラするなッ!!
A)えっ…
ヒロト)あっ……
またやってしまったとバツが悪そうに顔を背けるヒロト。
A)…ごめんね、私…昔から察し悪くって……
ヒロト)っ
…違う。
そんな事を言わせたくてあんな事を言ったんじゃない。
分かっていてもヒロトの性格上謝ろうにも謝れない。
…今更どう弁解しようと、今まで自分がAに対してしたことは褒められたものではないのだから。
A)……でも
罪悪感とプライドとの葛藤している中、スーツの裾を軽く引っ張られる感覚が伝った。
A)…似合ってるって思ってくれたの?
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作者名：39 | 作成日時：2023年8月13日 17時
